2009 Fiscal Year Annual Research Report
冷却原子気体における臨界ゆらぎ及び秩序形成の実時間ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
07J03598
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手塚 真樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 冷却原子気体 / フェルミ凝縮体 / 粒子数インバランス / Bogoliubov-de Gennes方程式 / 自己無撞着T行列近似 / 密度行列繰り込み群 / 光格子 / 準周期ポテンシャル |
Research Abstract |
極低温フェルミオン原子が2つの超微細準位に異なる個数存在する(偏極)系で、s波散乱長が発散するunitarity極限付近で凝縮体が実現された2つの実験(MIT,Rice大)について、凝縮する偏極度の差および原子分布のトラップ形状からのずれの有無という差異の原因が論争の対象になっていた。前年度、葉巻型トラップ中でBogoliubov-de Gennes方程式を数万粒子までの偏極系について解く方法を確立し、アスペクト比が大きいほど変形が大きくなることを示したが、Riceの実験ほど大きな差は再現されなかった。凝縮する偏極度の上限(CC limit)については、アスペクト比を増やしても増加しなかった。ただし、平均場近似により粒子間の相互作用を扱う際、unitarity極限が扱えないという課題があった。今年度は、強相関電子系で開発された、非一様な系でフェルミオン間の相互作用について摂動の重要な項の高次までの効果を精度よく取り込める手法である実空間自己無撞着T行列近似(RSTA)を援用し、unitarity極限にある系の解析を行った。その結果、平衡状態ではCC limitはアスペクト比とともに増加しないとの結論を得た。Riceの実験は冷却過程の非平衡状態と考えられる。 また、波長が簡単な整数比の関係にない2つの光格子を重ね合わせた冷却原子系の乱れと相互作用の競合の効果を、1000サイト近くまでの1次元系の基底状態を密度行列繰り込み群により求めることで調べた。フェルミオンの2状態間に引力の働く系では、絶縁化する乱れの強さは引力が強くなると減少する。凝縮の程度を表す量は、引力がフェルミオンのホッピング程度のとき、乱れの関数として一旦増加するが、絶縁化に先立って急に減少することがわかった。
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Research Products
(7 results)