2009 Fiscal Year Annual Research Report
眼点と接合装置の相対的位置とオルガネラ遺伝様式から明らかにする緑藻の雌雄性の起源
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07J03633
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂木 祐子 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 緑色藻類 / 性分化 / オルガネラ遺伝 |
Research Abstract |
本研究の目的は、緑色藻類で見られる配偶子の性分化(接合装置の非対称性)とオルガネラ遺伝との関係性を調べることにより、緑色藻類の雌雄性の進化を明らかにすることである。 緑色藻類の配偶子は、眼点と接合装置(細胞融合部位)の位置が二つの交配型間で非対称になっている。この非対称性は、緑色藻類の最も古い性分化の一つである可能性が高い。本研究では、同形配偶生殖と異形配偶生殖の中間段階にあると考えられるヒラアオノリを用いて、非対称性と雌雄を特徴付けるとされるオルガネラ遺伝様式に着目し、以下の実験を行った。ヒラアオノリのmt^+、mt^-の配偶子は、眼点に対して接合装置の位置に明確な非対称性があり、形態的に異なる2つのタイプに分けることができた。形態的な二形性を示す4系統8株のヒラアオノリを用いて、4系統間12組の交雑を行った。得られた377の胞子体でオルガネラ遺伝マーカーを用いて葉緑体とミトコンドリアの遺伝様式を調べた。その結果、葉緑体は355例(94.2%)の割合でmt^+から片親遺伝していた。一方で、ミトコンドリアは312例(83%)の割合でmt^+から片親遺伝していたが、葉緑体に比べ父性遺伝や両性遺伝といったmt^-の遺伝マーカーが残存する接合子が多く検出された。接合後6時間から1週間までの接合子を、マイクロマニュピレーションを用いた顕微操作により1細胞ずつ採取し、mt^+、mt^-特異的遺伝マーカーの検出を行った。ミトコンドリアDNAは、接合後6時間で分解されている個体も検出されたが、その分解時期には個体差があり、最終的にすべての個体で消失が確認されたのは接合後1週間の2細胞期の発芽体であった。ミトコンドリアや葉緑体が両性遺伝する個体では、mt^-のオルガネラDNAは、2細胞期の発芽体で起こる片親オルガネラDNAの分解機構を逃れ、発芽体内に残存すると考えられた。
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Research Products
(3 results)