2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03656
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小笠原 紀行 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 気泡流 / 界面活性剤 / 揚力 / LDV計測 |
Research Abstract |
気泡流の解析では複数のスケールに渡る物理現象をはっきりと整理した上で,スケールの異なる各々の現象の相互干渉を十分に理解する必要がある.しかしながら,現段階では気泡-液相間の相互作用のうち,最も肝心となる気泡が存在することによる液相の乱流変調に関しての知見は得られていない.本研究では,鉛直チャネル内気泡流を対象とした実験を行い,気泡流の有する多重スケール構造の観点から,気泡混入による大規模な乱流構造の変調のメカニズムを解明することを目的とする.特に,単相乱流場における単一気泡の挙動や,壁面近傍に気泡群が集積する際に生じる気泡クラスタの生成・成長に関する詳細な知見の取得を目指す.単一気泡の実験では,水中に含まれる界面活性剤の影響に関して,特に気泡流の乱流変調において重要な役割を果たすせん断に起因する揚力の定量的な評価を行う.また,気泡-気泡間相互作用に関する壁面近傍に拘束された気泡群(特に気泡クラスタ)の解析において,周囲の液相構造の可視化による単相乱流場との比較から壁近傍乱流構造の詳細を記述し,気泡流乱流における乱流変調のメカニズムを明らかにする.本年度においては作製した縦型のアクリル製矩形管流路内において,単一気泡の挙動観察,及び気泡流のレーザ・ドップラー流速計による測定を行った.単一気泡の挙動解析から,界面活性剤の影響により周囲流動の平均せん断から気泡が受ける揚力が大きく減少することが明らかになり,気泡のせん断による揚力係数の定量的な評価が可能となった.また,気泡流の実験では,上記の揚力の変化がチャネル内上昇気泡流の流動構造を大きく変化した.ここでは液相の平均速度や変動速度,レイノルズ応力の分布を解析した.
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