2008 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリンシグナルと脂質ラフトによる細胞分裂軸制御機構の解明
Project/Area Number |
07J03674
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
満島 勝 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | spindle orientation / Cdc42 / PAK2 / mitosis / cell division |
Research Abstract |
哺乳類の接着性培養細胞は、接着する細胞外基質に対して水平に分裂するための制御機構が存在することがが、この制御には、PtdIns(3,4,5)P3が必要であり、インテグリンを介した細胞接着がPtdlns(3,4,5)P3を作るのに必要な酵素であるPI3Kの活性化に必要であることを明らかとした(Dev Cell,2007)。さらに申請者は、この制御に低分子量Gタンパク質の一つCdc42が重要な役割を果たしていることを明らかとした。Cdc42をsiRNAで発現抑制すると、紡錘体が細胞接着面に対して水平に配置されず、その原因の一つが、分裂期においてPI3Kの活性化が抑制されることがわかった。また、Cdc42は細胞膜の限局された領域で活性化していることが分かった。さらに、Cdc42の下流因子を探索したところ、PAK2という標的因子が関与していることを突き止めた。PAK2もCdc42とともに細胞膜の限局した領域に局在したが、Cdc42を抑制するとPAK2の局在が抑制された。さらにPAK2が紡錘体配向制御にどのようにして関与しているかを様々な変異体を導入して検討したところ、(1)Cdc42との直接的な相互作用が重要である、(2)PAK2のキナーゼ活性は必要ではない、(3)betaPixと呼ばれるタンパク質と相互作用することが重要である、ことが分かった。さらに、Cdc42-PAK2-betaPixの経路はCdc42-PI3K経路とは独立に機能し、前者が細胞膜表層のアクチン骨格の制御を通して、また後者はPtdIns(3,4,5)P3の生産を通して、星状微小管を制御するダイニン-ダイナクチン複合体の局在を制御していることを明らかとした。以上の結果をMolecular and Cellular Biology誌に投稿し、受理された(2009年3月)。 申請者はさらに、M期におけるアクチンのダイナミックスを明らかにするためGFP融合アクチンを作成し、タイムラプス顕微鏡により観察した。その結果、M期のアクチンは非常にダイナミックに変化していることが明らかとなった。現在、M期のアクチンダイナミクスにどのような分子が関与しているか、また、その生理的な意義について詳細な検証を行っている。
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Research Products
(2 results)