2007 Fiscal Year Annual Research Report
X線撮像分光による重元素と銀河高温プラズマの銀河・銀河間空間を巡る大循環の解明
Project/Area Number |
07J03683
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 碧 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線天文学 / すざく衛星 / X線CCDカメラXIS / 人工電荷注入による較正作業 / 渦巻き銀河NGC 4388 / 超新星残骸IC 443 / 超新星残骸中の電離状態 / 重元素の合成と拡散 |
Research Abstract |
本研究では宇宙における重元素が合成され、そして拡散していく過程を、主にX線観測を通じて行うことを目的としている。このためにまず、今年度は2005年8月に打ちあがった日本のX線観測衛星『すざく』に搭載されたX線CCDカメラ『XIS』検出器の較正作業を行った。XISではX線の高精度の撮像・分光が可能である。しかし打ち上げから数年を経てCCDのエネルギー分解能は放射線損傷によりだんだん劣化してきている。これをしっかりと補正してやらないことにはXISの高いエネルギー分解能を活かした研究は出来ない。 そこで私はXISチームの一員としてCCDの較正作業にあたった。具体的には放射線損傷によるエネルギーゲイン・分解能の劣化の経年変化を調べ、これを補正する作業を行った。そしてCCDに人工的に電荷を挿入して電荷転送非効率を正確に測定することにより分解能を改善させることに成功した。これらの作業は、『すざく』衛星のデータを用いる研究者全てが恩恵を受ける必要不可欠な作業である。以上の較正作業については今年(2008年)6,月に国際学会で発表し、論文にも投稿予定である。 これらの較正したデータを用いて、まず重元素の拡散を探る上で不可欠な、重元素を合成している現場、超新星残骸IC 443の観測を行った。X線の特性輝線を用いた解析により多くの重元素が多く合成されている現場を確認した。この結果は2007年度の国際学会及び天文学会で発表した。 また、銀河と銀河間の物質を巡る循環を調べる一環として渦巻銀河NGC 4388の観測を行い、今までに見つけられているよりもずっと大きく広がったX線放射を発見した。
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Research Products
(5 results)