2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03697
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小郷原 一智 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 火星 / ダストストーム / 大気力学 / 惑星大気 |
Research Abstract |
ダストストームの拡大機構解明のダスト拡大地域マップ作成に当たり、二酸化炭素相変化過程の風速への影響の大きさをあらかじめ知っておく必要がある。なぜなら、大気主成分の相変化によってもたらされた地表気圧変化は、水平風に影響し、ひいてはダストストームの拡大にも影響するかもしれないからである。したがって、拡大地域マップを作成し、いざダストストーム拡大の原因となる気象現象を特定しようとしたとき、二酸化炭素の相変化の水平風に対する影響の大きさを知らないことは、問題の切り分けにとって致命的となりうるのである。私は二酸化炭素の昇華、凝結によって地表気圧が変化するスキームと、温度だけを補正し地表気圧が変化しない簡単なスキームによる計算結果を比較し、二酸化炭素の相変化による地表気圧変化が、大気の運動に対してどれほどの影響を与えるのかを評価した。その結果、少なくとも北半球夏においては二酸化炭素の昇華、凝結は下層の水平風速場に対してほとんど影響がないことがわかった。平均水平風が変化したのはダストが到達しないような上空であって、下層は、たとえ地表第一層であっても、高低気圧や日変化に対して1桁以上小さい影響でしかなかった。したがって、北半球夏においては二酸化炭素の相変化の、ダストの輸送に対する影響は非常に小さく、ダストストーム拡大地域マップ作成の際には、場合によっては複雑な二酸化炭素相変化スキームを用いなくてもよいと考えられる。現在、ほかの季節に関して実験中である。
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Research Products
(4 results)