2009 Fiscal Year Annual Research Report
イネα-アミラーゼのプラスチド局在化メカニズムの解明
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07J03701
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古賀 彩 Niigata University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オルガネラ / タンパク質輸送 / シグナル配列 / デンプン分解 |
Research Abstract |
(1)イネα-アミラーゼl-1(Amyl-1)ポリペプチド鎖に存在するプラスチド局在化シグナルの同定 Amyl-1(W302L)のアミノ酸置換変異は局在化を抑制するものの活性には全く影響を与えず、W302Lは酵素タンパク質全体の立体構造に殆ど影響を与えないことを示しており、少なくともW302を含むタンパク質表面構造がプラスチド局在化に必須であることが示された。今年度は、Amyl-1ポリペプチド鎖の結晶構造解析を行いW302Lの変異が立体構造に与える影響を明らかにするために、大腸菌発現系によるAmyl-1の大量発現と精製を試み、大腸菌発現系で発現されたAmyl-1は、β-シクロデキストリン-アフィニティークロマトグラフィーにより精製できることが確認できた。今後、結晶構造解析を行うために大量発現・精製を行い、本来のポリペプチド鎖を持つAmyl-1と変異を導入した酵素タンパク質の立体構造等を比較することでプラスチド局在化シグナルの立体構造的特徴の解明が期待できる。 (2)ゴルジ体-プラスチド間コミュニケーションの可視化解析 これまでの研究結果から、ゴルジ体からプラスチドへの新奇の膜輸送経路の存在が示され、輸送小胞がプラスチド包膜をどのように通ってストロマへ運ばれるのかが次なる疑問となった。これを解明するためにプラスチド包膜マーカーとしてOsLACS9-GFPを構築しマネギ表皮細胞で一過的に発現させその細胞内局在観察を行った。その結果、OsLACS9-GFPはマーカーとして利用できることが確認できた。これを用いてゴルジ体-プラスチド間輸送の詳細な観察・解析を行う計画であったが、OsLACS9-GFPを発現させたタマネギ細胞においては、Amyl-1-GFPとプラスチドマーカーWxTP-DsRedの共局在が観察されにくくなり、OsLACS9-GFPの発現によりAmyl-1-GFPのプラスチド局在化が抑制されることが示された。その理由としては、(1)包膜上のGFPによる立体障害(2)OsLACS9が未知の輸送装置コンポーネントに影響(3)OsLACS9そのものが輸送装置コンポーネントでありOsLACS9-GFPがドミネガ的に働いている、などが考えられ、今後検証していくとともに新たに包膜マーカーを構築・作製して輸送機構の解明を目指す。 (3)イネα-アミラーゼl-1のプラスチド局在化に関わるタンパク質因子の同定と機能解析 Amyl-1-GFP、Amyl-1のC末端側を切断したAmyl-1(Δ101-428a.a.)-GFPおよびAmyl-1(Δ370-428a.a.)-GFPをそれぞれ強発現する形質転換イネを作出し、種子を得た。これらの種子からカルスを誘導し、その再分化カルスの切片観察から、これまでにタマネギ細胞を用いた観察系で得られた結果と同様に、イネ細胞においてもAmyl-1(Δ101-428a.a.)-GFPはプラスチドに局在化せず、Amyl-1(full-length)-GFPおよびAmyl-1(Δ370-428a.a.)-GFPはプラスチドに局在化した。これらの結果から、イネ細胞においてもAmyl-1の301-369a.a.付近の領域が局在化に重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] The Rice α-Amylase Glycoprotein is Targeted from the Golgi Apparatus through the Secretory Pathway to the Plastids
Author(s)
Aya Kitajima, Satoru Asatsuma, Hisao Okada, Yuki Hamada, Kentaro Kaneko, Yohei Nanjo, Yasushi Kawagoe, Kiminori Toyooka, Ken Matsuoka, Masaki Takeuchi, Akihiko Nakano, Toshiaki Mitsui
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Journal Title
The Plant Cell Online Publication on Sep.18, 2009
Peer Reviewed
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[Presentation] Plastid-targeting of rice alpha-amylase glycoprotein from the Golgi apparatus through the secretory pathway2009
Author(s)
Kitajima, Aya, Asatsuma, Satoru, Okada, Hisao, Hamada, Yuki, Kaneko, Kentaro, Toyooka, Kiminori, Matsuoka, Ken, Nakano, Akihiko, Mitsui, Toshiaki
Organizer
Plant Biology 2009, Poster(P42004)
Place of Presentation
Hawaii Convention Center, Honolulu, Hawaii
Year and Date
20090718-20090722