2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネα-アミラーゼのプラスチド局在化メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J03701
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北嶋 彩 Niigata University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オレガネラ / タンパク質輸送 / シダナル配列 / デンプン分解 |
Research Abstract |
イネα-アミラーゼトI-1のプラスチド局在に必要である301-369アミノ酸のうち、アイソフォームと比較してI-1に特有なアミノ酸に点置換変異を導入したところ、共焦点レーザー顕微鏡観察の結果、プラスチドへの局在化が抑制された。置換変異を導入したアミノ酸には、デンプン結合部位と推測される302Trpが含まれる。 ポリペプチド鎖に存在するプラスチド局在化シグナルの特徴と酵素活性との関連を明らかにするため、小麦胚芽の無細胞転写・翻訳系(RTS)を用いてイネα-アミラーゼI-1を発現させ、その酵素的性質を解析した。その結果、局在化を抑制した4種類の置換変異のうち、302Trpを302Alaに置換したものを含む3種類は、α-アミラーゼI-1をほぼ失活させることが明らかになった。しかし、302Trpを302Leuに置換したものは活性を維持しており、プラスチドへの局在化とアミラーゼ活性に必要な部分が同じではないことが示された。 プラスチド局在化には301-369アミノ酸が必要であることがすでに明らかになったが、この領域だけで分泌性タンパク質をプラスチドへ局在化させることができるかは明らかになっていなかった。そこで、タマネギ細胞における一過的発現観察系においてはプラスチド局在を示さなかったα-アミラーゼアイソフォームII-6と、I-1の301-369アミノ酸領域のキメラ遺伝子を構築し、GFPで標識してタマネギ細胞における細胞内局在を観察した。その結果、II-6/I-1-GFPはプラスチドには局在せず、I-1の301-369アミノ酸は局在化に必要だがこの領域だけでは十分でないことが示された。 本研究は、プラスチド局在化シグナルの同定を目的の一つとしている。今年度の研究結果から、酵素活性・プラスチド局在化ともに301Trp・302Trpのデンプン結合部位付近の構造が重要であること、しかし必要な構造は異なることが示唆され、今後のプラスチド局在化シグナル同定のための新たな知見を得ることができた。
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Research Products
(1 results)