2007 Fiscal Year Annual Research Report
局所対称性とそのアノマリーに基づくブラックホール蒸発過程の研究
Project/Area Number |
07J03715
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 佳樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ブラックホール / Hawking輻射 |
Research Abstract |
ブラックホールの蒸発過程を理解することは、量子重力理論の理解につながるとえられている。また、ブラックホールの終状態が分かることになるので、宇宙論や宇宙物理の観点から見ても蒸発過程の理解は重要なことである。我々はホライズン上での局所対称性の破れに注目しブラックホール蒸発過程の研究を行った。先行研究においては、球対称のブラックホールに対してはスカラー場のHawking輻射が対称性の破れの観点から説明できることが分かっていた。しかし、Hawking輻射が完全に対称性の破れの観点から解釈できるのならば、より一般のブラックホールに対しても拡張できなければならない。そこで我々は、Kerrブラックホール、ブラックリング解においてスカラー場のHawking輻射が局所対称性の破れの観点から解釈できることを示した。また、電磁場のHawking輻射も同様な解釈ができることが分かった。これらの研究はHawking輻射の背景時空への反作用を無視していた。しかし、蒸発の最終段階ではHawking輻射の反作用が効いてくる。そこで、我々はブラックストリング解におけるHawking輻射の反作用を取り入れた蒸発過程の研究を行った。その結果、内部空間のダイナミクスはトレースアノマリーによって引き起こされていることが示された。また、ブラックストリングはその内部空間のダイナミクスにより、我々の時空から切り離されるという全く新しい可能性があることが分かった。
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Research Products
(4 results)