2007 Fiscal Year Annual Research Report
分散計算のための新しい不動点近似法と通信ネットワークへの応用に関する研究
Project/Area Number |
07J03784
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 則行 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分散ネットワーク / 不動点近似法 / 非拡大写像 / 変分不等式 / 電力制御問題 / 凸解析 / ヤコビ法 |
Research Abstract |
分散ネットワーク上の多くの最適化問題(例えば電力制御問題)は「直積集合を制約に持つ変分不等式問題」として統一的に定式化される.この問題は次の2つの困難さを抱えている: 1.制約が複雑な場合に従来法ではこの問題を解決することはできない. 2.分散ネットワーク上ではこの問題を分散計算によって解決しなければならない. これらの問題に対し,我々は非拡大写像の不動点理論の考え方を分散計算の理論と融合させるという工学的にも数学的にも画期的なアプローチを取った.その結果,上記の2つの問題を一挙に解決する新しい分散計算のための不動点近似法を開発することに成功した.提案法は連立方程式の解法として広く知られているヤコビ法のアイデアを基に,非拡大写像の不動点近似法を拡張したものになっている.さらに,提案法の性質を理論的に検証し,提案法が変分不等式問題の最適解に収束する点列を生成することの数字的な証明を与えることにも成功している. 提案法の有効性を確認するため,我々は未解決クラスの電力制御問題に提案法を応用し,次の成果を得た: 1.従来研究されてきた電力制御問題よりもかなり広いクラスの電力制御問題が,直積集合を制約に持つ変分不等式問題として統一的に定式化できることを示した. 2.従来よりもより現実的な制約を考慮した電力制御問題は未解決問題であったが,その問題が提案法を用いることでネットワーク上の分散計算によって解決できることを示した.また,数値例によってその有効性を確認した.
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Research Products
(4 results)