2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03790
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森口 智美 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリケタイド合成酵素 / 6-メチルサリチル酸合成酵素 / Aspergillus terreus / 脱水酵素 / チオエステラーゼ |
Research Abstract |
糸状菌のポリケタイド合成酵素は、一本のポリペプチド鎖上の触媒酵素ドメインが繰返して反応に関与する繰返し型タイプI(IPKS)に分類され、共通のドメイン構造を持ちながら、還元反応、メチル化反応、生成物の炭素鎖長の制御とともに縮合サイクル特異的な環化反応によって、多種多様な炭素骨格の化合物ライブラリーを与える。本研究では、未だ不明であるIPKSの高次構造や酵素特異的な反応制御機構の解明を目的とし、Aspergillus terreus由来の6-メチルサリチル酸(6-MSA)合成酵素ATXを取り上げ、大腸菌発現系を用いて調製した精製タンパクを用いて種々の機能解析を行っている。前年度までに、ATXの触媒ドメインのうち、脱水酵素に共通した活性中心配列HxxxGxxxxPを持つ事から脱水酵素DHドメインとされてきたドメイン(DH様ドメイン)が、チオエステラーゼ(TE)活性を有することを見出していた。本年度の研究では、その反応メカニズムと、当ドメインの立体構造の解明を目的とした検討を行った。まず、DH様ドメインの活性中心HisをAlaに変異させたDHmと、^<14>C標識基質を反応させると、DHmま6-MSAを生成できずにテトラケタイド中間体を結合したままであることを確認していたことから、その結合領域の同定を試みた。^<14>C中間体結合型DHmのトロンビン消化断片のうち、^<14>C標識された断片は、N末シーケンシングによりACPを含むことが確認されたため、中間体はDHmのACP上に結合していることが明らかとなった。次に、ACP結合型中間体の摸倣体である、6-MSAのSNAC誘導体を合成し、野生型ATXと反応させ、DH様ドメインのTE活性の動的パラメーターを算出した。以上の検討により、ATXのDH様ドメインは、既知のTEとは異なり、ACP結合型中間体を直接加水分解するというメカニズムで反応を触媒することを明らかにした。現在、DH様ドメインを含む部分長タンパクATXDHの、X線結晶構造解析に向けた精製条件を検討中である。
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Research Products
(3 results)