2009 Fiscal Year Annual Research Report
電場による液体の新しい秩序:平衡、非平衡条件下における構造とダイナミクス
Project/Area Number |
07J03802
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
貞包 浩一朗 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ソフトマター物理学 / 溶媒和 / 自己組織化 / 溶液・液体 / 相転移・臨界現象 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
水/有機溶媒などの2成分混合溶液に塩を添加した系は、塩濃度に応じて臨界挙動の異常やミクロクラスターの形成が観測されるなど、古くから様々な現象が指摘されている。これら現象の多くは電離したイオンが周囲の極性溶媒を引き付ける効果(溶媒和効果)により解釈されているものの、未解決の点も多い。平成21年度申請者は、水と3-メチルピリジンの混合溶液に疎水性の陰イオンを持つ塩であるNaBPh4を加えた系を用いて中性子散乱実験を行い、メゾスケールの構造とダイナミクスについて詳しく調べた。 そ結果、3MPに対する水の体積分率を0.89~0.92となるように混合させた場合、100Å程度の周期を持っラメラ構造(T<318K)や無秩序構造(T>318K)が形成されることが分かった。更に、これらの相における小角散乱のデータについて解析を行ったところ、有機溶媒である3MPが厚さ10Å程度の膜として振る舞い、それが100Å周期で積層することでラメラ構造を形成していることが分かった。また、中性子スピンエコーの結果から、3MPで形成された膜は10ナノ秒程度の時間スケールで波打ち運動をしていることも分かった。 以上の結果は、Physical Review Letters誌に掲載された(K.Sadakane, A.Onuki, K.Nishida, S.Koizumi and H.Seto, Phys.Rev.Lett., 103, 106873(2009))。また、EMLG-JMLG annual meeting 2009(オーストリア)や日台中性子&X線研究会(台湾)などの国際学会にて招待講演を行い、今後の発展性などについて議論した。
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Research Products
(12 results)