2007 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ脂質代謝経路を介した細胞死抑制機構の解析
Project/Area Number |
07J03838
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長野 稔 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物分子細胞生物学 / プログラム細胞死 / スフィンゴ脂質 |
Research Abstract |
植物におけるプログラム細胞死制御機構を解明するため、本研究ではシロイヌナズナのBax Inhibitor-1(AtBI-1)による細胞死抑制のメカニズムに着目し研究を行っている。これまでに出芽酵母を用いた実験から、AtBI-1がシトクロムb5(Cb5)を介して、スフィンゴ脂質脂肪酸ヒドロキシラーゼ(FAH)と相互作用する可能性を示した。そこで今年度はまず、3因子の植物細胞内での相互作用解析に着手した。 AtBI-1とCb5,及びCb5とFAHの植物細胞内相互作用をFRET-APB法により解析した。その結果、それぞれ10%及び14%のFRET効率を示したことから、AtBI-1とCb5,及びCb5とFAHが実際に植物細胞内で相互作用することが明らかとなった。以上の結果から、AtBI-1、Cb5,FAHが植物細胞内で相互作用することが強く示唆された。 FAHはスフィンゴ脂質脂肪酸ヒドロキシラーゼであることから、AtBI-1がFAHの活性に影響を与えることで脂肪酸のヒドロキシル化が促進されることが予想された。そこで、シロイヌナズナの野生型とAtBI-1の過剰発現体におけるヒドロキシル脂肪酸をGC-MSで分析した。その結果、過剰発現体で、スフィンゴ脂質特異的な長鎖ヒドロキシル脂肪酸量が増加していた。従って、AtBI-1がスフィンゴ脂質脂肪酸のヒドロキシル化に関与していることが明らかとなった。 近年、スフィンゴ脂質の細胞死制御への関与が示唆されており、細胞死抑制因子AtBI-1がスフィンゴ脂質を介して細胞死を抑制するメカニズムの解明は、細胞死、スフィンゴ脂質両分野おいて非常に意義深い。 今後は、AtBI-1がFAHを介してスフィンゴ脂質脂肪酸のヒドロキシル化に与える影響をより詳細に解析する。さらに、スフィンゴ脂質脂肪酸のヒドロキシル化と細胞死制御の関連の解明を目指す。
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Research Products
(4 results)