2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能レーザー光電子分光を用いた重い準粒子バンドの形成過程に関する研究
Project/Area Number |
07J03850
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松波 雅治 The University of Tokyo, 物性研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 重い電子系 / 光電子分光 |
Research Abstract |
本研究では,先端光電子分光を用いて強相関f電子系における重い準粒子バンドの形成過程を明らかにすることを目的としている.ここで対象とする物性は,重い電子状態,異方的超伝導,価数揺動系,近藤半導体,非フェルミ液体など非常に広範囲に及ぶ.本年度は,以下に示す二件の研究テーマを精力的に進め,重要な結果を得た. 1.充填スクッテルダイト化合物CeOs_4Sb_<12>の高分解能光電子分光 充填スクッテルダイト化合物CeOs_4Sb_<12>においては,輸送特性に見られる近藤半導体的挙動と,比熱・帯磁率に見られる重い電子系金属的挙動の異常な共存が問題となっている.本研究では現在までに進めてきた測定よりも更に高分解能(2meV以下)での測定を行い,フェルミ準位から非占有状態側に4f電子成分の存在を確認し,これに基づいて4f電子の軌道対称性に依存した二重性(局在・遍歴)を提唱し,これが上記の異常な物性の起源となっていることを指摘した. 2.YbAl_2おける光電子分光 YbAl_2はYbが+2価に近い価数状態を持つと考えられているが,その価数は実験によって2〜2.4価と大きなバラつきが見られる.最近,我々はYbSとYb金属において,光電子分光と光学スペクトルの比較が高精度な価数評価方法になることを証明し,またこれらが純粋なYb^<2+>状態を持つことを明らかにした.本研究ではこの手法をYbAl_2にも適用し,僅かな価数揺動の証拠を得た.それに加えて,プラズモン損失のエネルギーが光学スペクトルで見られるプラズマ振動数と著しく異なることを見出した.
|
Research Products
(3 results)