2007 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染における抵抗性を左右する宿主側レジスタンス・ファクターの網羅的解明
Project/Area Number |
07J03855
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新澤 直明 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 細菌 / 分子遺伝学 / ショウジョウバエ / 感染症 |
Research Abstract |
ショウジョウバエを用いた機能獲得型スクリーニング(GSシステム)によりサルモネラ菌感染に伴う抵抗性を制御する宿主側因子を複数同定した。2500系統のGS系統のスクリーニングにより、21系統の抵抗性を高める因子を同定した。同定された抵抗性を増強する宿主側因子の中からショウジョウバエp38ホモログ遺伝子であるDmp38bを選別した。p38は哺乳類における免疫系を制御する分子として重要視されている。Dmp38bを過剰発現しているショウジョウバエ個体は抵抗性を増し、さらに、Dmp38bを欠損している個体は感受性が高まった。過剰発現個体内での細菌の増殖速度は対照個体と大きく変化せず、感染後期における個体内細菌数は通常よりも多くなった。Dmp38b欠損変異体では少ない細菌数が確認された。さらに、ショウジョウバエにおける主要な免疫機構である抗菌ペプチドの発現量、血球系細胞における貪食機能およびメラニン化については病原体の排除に大きく関わるような変化は認められなかった。これらの知見からDmp38bはショウジョウバエ個体内において細菌を排除する機能には関与していないことが示唆された。つまり、Dmp38bは病原体が及ぼす病原性に対しての抵抗性を制御する因子であることが推測される。哺乳類における免疫も含めて、現在まで病原性に対する宿主応答を制御する宿主側因子については深く研究が進んでいないことから、ショウジョウバエ・サルモネラ菌感染モデルにおけるDmp38bの新たな役割を解明したことは今後の宿主応答研究に対して大きく貢献するものであると考えられる。
|
Research Products
(1 results)