2008 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚内部の微細構造を利用したMEMS触覚センサに関する研究
Project/Area Number |
07J03860
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 堅太郎 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 触覚センサ / なぞり動作 / 微小起伏計測 / MEMS / ピエゾ抵抗カンチレバー素子 / 粘性液体封止 |
Research Abstract |
本年度の研究成果としては,人がなぞり動作によって物体表面の微小な起伏を計測する際に皮膚表面の指紋や触覚受容器の構造が与える影響を検証するため,MEMS技術を用いた皮膚状触覚センサを実現し,その特性計測を行った.触覚センサは,剛性が異なる2層のシリコーンゴムを積層することで構成しており,剛性が高い表面部位に指紋状の凹凸構造を作成した.微小起伏が存在する物体表面をなぞった際,指紋型構造と起伏とが接触することで触覚センサ内部にせん断変形が生じる.このせん断変形を弾性体中に埋め込んだ直立ピエゾ抵抗カンチレバーを用いて計測することで,物体表面に存在する起伏の周期を計測することが可能となる.作成した指紋型構造の効果を検証するため,幅0.1mm,高さ0.01mmの起伏を0.3mm間隔で配置したシリコン基板表面を,表面に指紋型構造を触覚センサ及び,表面が平坦な触覚センサを用いてなぞった際のセンサ出力を比較した.この結果,指紋型構造が存在することで,センサ出力が8倍程度増幅し,なぞり動作における指紋型構造の有効性を示すことができた. また,皮膚状構造を構成する弾性体中に粘性を持つ液体を封止し,その内部に直立ピエゾ抵抗カンチレバーを配置することで,皮膚のマイスナー小体と同様に力の時間変化をメカニカルに検出することが可能な構造を実現した.この構造を皮膚状触覚センサ中に配置し,微小な起伏が存在する物体表面をなぞった場合,物体の土台形状によらず起伏の周期のみを抽出することが可能となる.このため,布などの表面に存在する1μm程度の微小な起伏を計測する上で有効な構造であると考えられる. これらの結果から,本研究によって実現した指紋型構造を持ち,液体封止した皮膚状触覚センサは,人の触覚機能を解明する上で有効なプラットフォームとなると考えられる.
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Research Products
(5 results)