2008 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジア農村の柔構造性と死別・離別女性:相互扶助機能の社会経済的基礎とその限界
Project/Area Number |
07J03875
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 奈穂 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カンボジア / 寡婦 / 相互扶助 / 親族 / 就業構造 / アジア経済論 / ジェンダー / 地域研究 |
Research Abstract |
カンボジアにおける死別・離別女性の世帯の経済所得は,欧米や日本とは対照的に,夫がいる一般の世帯よりも相対的に高い。本研究では,農村における死別・離別女性を支える村の社会,経済機能とはどういうものなのかを,主に一農村における長期の定着調査によって明らかにすることを目的とする。 平成20年度は,昨年度に実施したカンボジアでのフィールド調査により得られたデータの分析および学会発表,論文の執筆に当った。また,データの補強のために,2度のカンボジアでの追加調査を実施した。主に調査村においてインタビュー調査を実施した。 データの分析は,村の人口編成,労働力編成等の基礎的なものにはじまり,土地所有と所得格差の関係,就業構造,相互扶助関係等と多岐に渡った。 その中でも特に,死別・離別女性の世帯が,最も貧困に陥りやすい子どもの幼少期にいかに貧困を回避しているのかに着目し,子どもを他の親族世帯へ一時的に移動させ,子どもの教育の継続や貧困の回避が可能となっていることを明らかにした。同内容について,アジア政経学会全国大会で発表し,また投稿論文(現在,審査待ち)を執筆した。 長い内戦により,カンボジアの農村社会経済研究は非常に限られたものとなっている。長期の定着調査により得られたデータをもとに,カンボジア農村の社会経済的特徴を描き出していくことは,カンボジア研究に対する非常に大きな貢献となるであろう。
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Research Products
(2 results)