2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03947
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高梨 秀樹 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / ミトコンドリアDNA / 卵細胞 |
Research Abstract |
筆者らの先行研究から、イネ根端分裂組織ではのちの細胞分裂の際ミトコンドリアDNA(mtDNA)を不足なく娘細胞に分配するために、個々のミトコンドリア内でmtDNAが多量に複製されているということが示唆された(Takanashi et al.Genes & Genetics Systems 81 : 215-218)。しかしながら、イネ分裂組織におけるmtDNA量に関する研究は根端分裂組織についての報告に限られており、他の分裂組織において同様にmtDNAの増加が起きているかは不明であった。本研究では、始原分裂組織とも言える卵細胞に注目し、イネ卵細胞が多量のmtDNAを保持しているかを明らかにするため、イネ未受精卵細胞を単離し、卵細胞当たりに含まれるmtDNA量の定量を試みた。 リアルタイムPCRを用いてミトコンドリアゲノム上にコードされているcob、CoxII、nad6、atp9の4遺伝子について、単離したイネ卵細胞と大量の調整が容易であるイネ緑葉由来プロトプラストを用いた定量PCRを行い、細胞あたりに含まれる各遺伝子のコピー数を定量した。その結果4遺伝子全てにおいて、イネ卵細胞はイネ緑葉由来プロトプラストと比較して11倍以上に及ぶコピー数を保持していることが明らかになった。この値は、定量に用いた卵細胞と緑葉由来プロトプラストの細胞体積比(5.2倍)よりも大きいことから、イネ卵細胞において細胞あたりの各遺伝子のコピー数が多いのは単に細胞が大きいからではなく、イネ卵細胞は緑葉由来プロトプラストと比較して体積当たりの各遺伝子コピー数も多いことによるということが明らかになった。これらの結果は、今後ミトコンドリアゲノムの構成を掘り下げて解析するために非常に有用なものであると考えられる。
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Research Products
(4 results)