2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J03950
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
柏木 孝幸 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物科学研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / 倒伏抵抗性 / 量的形質遺伝子座 |
Research Abstract |
本年度の計画に基づき、分子生理学的研究として倒伏抵抗性QTL(pr15)の遺伝子特定に向けたポジショナルクローニングの立ち上げ、環境応答研究として窒素施肥条件がpr15の作用に与える影響の解析を行った。 日本晴の遺伝的背景にpr15を有する系統NIL63に日本晴をバッククロスした後代系統(BC1F2)736個体を圃場に移植し、一塩基多型(SNPs)マーカーを利用して180個体を選抜した。選抜個体における遺伝型情報と下位部押し倒し抵抗値の結果から、量的形質遺伝子座(QTL)解析ソフトQgeneを用いてpr15染色体領域の矮小化を行った。検出したQTLの対数オッズ比(LOD)ピークから、pr15の領域を約2.9Mbpまで絞り込むことができた。 窒素施肥条件4、8、12g・m^<-2>圃場にコシヒカリの遺伝的背景にpr15を有する系統CSSLpr15とコシヒカリを栽培し、倒伏抵抗性、葉身の老化特性、並びに基部節間の炭水化物再蓄積特性を比較した。各窒素施肥条件において、CSSLpr15の下位部支持力、止葉葉身より下の葉身のクロロフィル並びにRubisco含量、基部節間の炭水化物含量はコシヒカリよりも高い値を示した。本研究の結果から、pr15の作用は窒素施肥条件に影響を受けないことが明らかになった。pr15を用いた下位部支持力の強化は、イネの窒素施肥条件による収量・バイオマス増加に伴う倒伏抵抗性低下の抑制に有用であると考えられる。pr15による葉身の老化特性への影響は止葉葉身より下の葉身で顕著であった。pr15による倒伏抵抗性メカニズムの解明のために、今後、登熟以降の葉身機能と基部節間の強度との関係について明らかにすることが必要であると考えられる。
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Research Products
(2 results)