2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハミルトン系の可縮でない周期軌道を用いたフレアーホモロジーとその応用
Project/Area Number |
07J03956
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
薮 義郎 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハミルトン系 / 周期軌道 / フレアーホモロジー / シンプレクティック幾何学 |
Research Abstract |
申請者は、フレアーホモロジーを用いて、ハミルトン系の可縮でない周期軌道の存在について研究した。可縮でない周期軌道に対するフレアーホモロジーの研究は、平成19年度に数理解析所研究集会で発表した。その後、申請者は以下の研究に方向を進展させた: (1)対称性を許容するハミルトン系、特に、relative periodic orbitsに対するフレアーホモロジー (2)ラグランジュ部分多様体の交差に対するフレアーホモロジー (1)について、ハミルトン系がLie群の作用を許容する場合には、力学系を特徴づけるものとして、周期軌道の他にrelative periodic orbitsと呼ばれるものがある。Lie群の作用によるハミルトン系の簡約化を考えると、簡約化前の方程式に対するrelative periodic orbitsは簡約化方程式の周期軌道へと射影される。よって、簡約化方程式の周期軌道に対するフレアーホモロジーを考えることは、すなわち、簡約化前の方程式のrelative periodic orbitsのフレアーホモロジーを考えていることになるであろう。今年度は、このフレアーホモロジーを考えるための変分原理を定式化し、論文で発表した。また、量子計算における重要な問題から、群作用を許容する例を選び、具体例を計算した。 (2)について、ハミルトン系の周期軌道に対するフレアーホモロジーは、ラグランジュ部分多様体の交差に対するフレアーホモロジーの特別な場合であることが知られている。よって、ラグランジュ部分多様体の交差に対するフレアーホモロジーを考えることは自然である。今回は、ラグランジュ部分多様体の交差理論の中で最も次元が低い場合、つまり、向きづけられた曲面上の2つの閉曲線の交差を考えた。これらの閉曲線に対して、組み合わせ論的にフレアーホモロジーを考え、Reidemeister torsionを定義することができる。このtorsionは2つのループがハミルトン同値であるための障害になっていると考えることができる。
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Research Products
(4 results)