2007 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科における花粉管誘導因子の種間変異による生殖隔離機構とその進化過程の解明
Project/Area Number |
07J03960
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
十河 暁子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 花粉管 / 雌性配偶体 / 花粉 / 雌しべ / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究ではモデル植物であるシロイヌナズナを用いて,新規変異体のスクリーニングを行うとともに,花粉管伸長に異常がみられる既知変異体の原因遺伝子の特定を行って,花粉管誘導に関わる因子の特定することを目的としている.本年度は花粉管誘導に関わる新規遺信子の単離のために,次の2つの解析を実施した. 1.雌性配偶体特異的に発現する遺伝子群のリスト化 まずはじめに,雌姓配偶体と花粉の両方が形成できない変異体(SPOROCYTELESS,spl)と花粉のみが形成できず雌性配偶体は正常に形成する変異体(MALE STERILITY 1, msl)を用いて,雌性配偶体で発現する遺伝子群を見出すことを考えた.それぞれの変異体を栽培し,雌しべをそれぞれ40個ずつ集め,RNAを抽出,マイクロアレイを行い,両変異体において全遺伝子の発現量の差を解析した.その結果から,msl変異体でspl変異体の5倍以上の発現量があることが分かった遺伝子群を,雌性配偶体で発現する遺伝子群としてリストアップした. 2.1でリストアップした遺伝子群の破壊株の解析 1でリストアップした遺伝子群のうち上位150についてSALKラインなどから破壊株を入手した.全てについて花粉管挙動を調べるのは時間的・育成する空間的にも困難であったので,まず次のような方法を用いてスクリーニングした.雌雄いずれかの配偶体に異常がある場合には耐性株と野生型の分離比が1:1(通常は3:1)になることを利用して,ラインごとに種子をプレートにまいて分離比を調べて選出した.次に,分離比が1:1に近かったラインについて耐性株を育て,できたさやを観察して種つきに異常があるものを候補として残した.解析の対象とした株は種子を採取し,再び播種・育成して,花を採取・固定し,花粉管伸長をアニリンブルー染色により観察した.今年度の解析によって,3ラインについて花粉管伸長に異常がみられ,いずれも雌性配偶体の発達にも異常があることが分かった.
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Research Products
(1 results)