2009 Fiscal Year Annual Research Report
現実的核力を用いた殻-クラスター状態の共存・競合の統一的研究
Project/Area Number |
07J03978
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
堀内 渉 Niigata University, 自然科学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原子核構造 / 現実的核力 / クラスター / テンソル力 |
Research Abstract |
原子核における分子的状態はとりわけ軽い原子核の励起状態に良く現れる。昔からの有名で未解決な例として^<16>Oの不思議なO^+と呼ばれる異常に低い励起エネルギーを持った準位は、二重閉殻の基底状態に対して励起状態はアルファクラスターが発達し、通常の殻模型的アプローチでは再現することが難しい。そこで本研究は殻模型的とクラスター的状態を同時に記述できる炭素12+4核子という5体模型の解析を行うことによってそれら準位の再現を試みる。核子間に現実的核力を用いることにより、非中心力の効果、とりわけテンソル力に着目し評価する。また、アルファ粒子の波動関数との重なりを調べることで、クラスターの生成消滅に対して定量的な議論をすることが可能となる。 新しい相関基底を用いて価核子間の運動をクラスター配位の仮定なしに記述できることを示し、その応用等の研究成果を論文及び国際会議で発表した。5体計算に必要な^<12>C+n間ポテンシャルは集団運動模型を基礎に定式化を行い、^<13>Cのスペクトルを再現するようなパラメータを決定した。すでに炭素12の芯核を含んだ5体計算コードの開発は終わり、計算を実行している最中である。しかしながら莫大な計算労力が要求され、すぐに収束解を得ることが困難な状況にある。3、4体系(窒素14、炭素14、15)についてはすでに収束解を得ることができ、価核子間に現実的核力を用いることで有効核力を用いた場合に比べ計算されたスペクトルが改善されること、特にテンソル力の効く場合にその差は顕著であることが示された。今後さらに細かい分析を行う予定である。5体計算(酸素16)の途中結果からは、異常に低い第一励起状態がアルファクラスターの仮定なしに自然に記述されることが見込まれ、目標とする励起機構が定量的に示される段階にある。5体系を含めた中間報告は国際会議にてなされた。
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Research Products
(15 results)