2007 Fiscal Year Annual Research Report
TTFを用いる機能性超分子の構築とその物性に関する研究
Project/Area Number |
07J03992
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
江野澤 英穂 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | テトラチアフルバレン / 自己集積 / ナノファイバー |
Research Abstract |
これまでの申請者の研究から、TTF縮環デヒドロアヌレン類は溶液中において特異な自己会合挙動を示し、条件に応じて様々な超分子集積体を形成することがわかっている。そこで、本年度はこのような自己会合現象や生成した超分子集積体を利用した種々の機能性分子デバイスの開発を検討した。その結果、比色型温度センサー、条件によって導電性が変化するナノワイヤー、熱可逆的な色のヒステリシス現象に基づく分子記憶素子などの構築に成功した。また、[18]アヌレンの超分子集積体が外部磁場に対して特異な応答性を示すことを見出し、完全ボトムアップ型のナノファイバー配列制御を達成した。 一方、シンプルな両親媒性構造のTTF誘導体は、ヘキサンのような低極性の有機溶媒中においてゲル化し、電気活性なファイバー状のモルフォロジーを形成することがわかっている。しかしながら、そのファイバーの生成メカニズムや、分子構造のわずかな違いがモルフォロジーや物性に及ぼす影響等に関してはあまりよくわかっていない。そこで、これらの事柄について実験的な立場から知見を得るために、両親媒性TTFのモノカルボン酸誘導体を設計・合成し、溶液中から生成した種々のモルフォロジーの構造と物性について系統的な調査を行なった。その結果、水素結合部位を有する誘導体がファイバー化する直前の溶液状態において、カルボン酸の相補的水素結合に基づく2量体を形成していることを明らかにした。また、この分子はヘキサンだけでなくアセトニトリルのような極性の高い溶媒中でもファイバー化し、ファイバー形成時の溶媒効果が生成したファイバーの色や形状に大きな影響を及ぼすことを発見した。 以上の結果は、従来の構造有機化学や超分子化学だけでなく、機能材料化学やナノテクノロジーの観点からも極めて重要であると推測される。
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Research Products
(5 results)