2007 Fiscal Year Annual Research Report
カタユウレイボヤ胚発生を支配する転写制御因子の網羅的・体系的解析
Project/Area Number |
07J04010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 純 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホヤ / 発生 / 転写制御因子 / 遺伝子制御ネットワーク / クロマチン免疫沈降法 / エレクトロポレーション法 / マイクロアレイ / ZicL |
Research Abstract |
発生をシステムとして理解するためには、転写制御因子を網羅的・体系的に解析し、理解することが重要である。私はカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)胚発生における転写制御因子の制御関係を網羅的に明らかにすることを目的として研究を行っている。この目的のためには、制御関係を網羅的かつハイスループットに決定する方法の確立が不可欠である。DNAアデニンメチル基転移酵素を用いた方法など、いくつかの方法を検討した結果、クロマチン免疫沈降法が最適な方法であるとの結論を得た。 クロマチン免疫沈降法は転写制御因子が結合するゲノム領域を同定するのに非常に有効な方法であるが、特異性の高い抗体が必要となるなどの制約がある。カタユウレイボヤではエレクトロポレーション法によって、外来遺伝子を極めて簡単に導入できるため、エピトープ・タグを付けた転写制御因子を発現させ、タグ抗体を用いることで、方法のさらなるハイスループット化を行った。 まずZicL転写制御因子を対象として解析を行った。この転写制御因子は初期原腸胚において脊索、神経、筋肉などで発現し、それぞれの組織の分化に必要な遺伝子を含む、数多くの転写制御因子やシグナル分子が影響下にあることが明らかにされている。 クロマチン免疫沈降法を行った結果、ZicLの影響下にあることが知られている遺伝子近傍の領域が特異的に濃縮されていることがリアルタイムPCR法によって確認された。さらにマイクロアレイによって、ZicLが直接制御している遺伝子を網羅的に同定することに成功した(投稿中)。この方法を用いてTwist-like-1、MyoD、Brachyury、Lhx3など、その他の転写制御因子についての解析を行っている。 以上、今年度は転写制御因子による制御関係のハイスループットな決定法を確立し、実際に数個の転写制御因子についてはその制御関係を網羅的に決定した。
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Research Products
(1 results)