2008 Fiscal Year Annual Research Report
カタユウレイボヤ胚発生を支配する転写制御因子の網羅的・体系的解析
Project/Area Number |
07J04010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保 純 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホヤ(Ciona intestinalis) / 胚発生 / 転写制御因子 / 遺伝子制御ネットワーク / ChIP-on-chip / 中胚葉 / cis-element / マイクロアレイ |
Research Abstract |
胚発生において、一個の受精卵は分裂を繰り返し、細胞の致を増やしながら、徐々に組織か特異化され、分化し、体が形作られていく。この一連の現象は複数の転写制御因子によって様々な遺伝子が適切に活性化されることによる。そのため発生をシステムとして理解するためには、転写制御因子を網羅的・体系的に解析し、その制御関係を明らかにすることが重要である。 私は脊索動物門に属するカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)を実験材料として研究を行っている。この動物は一般には馴染みの少ない動物であるが、脊椎動物に最も近い無脊椎動物として、脊椎動物の特徴(ボディープランや遺伝子セットなど)を数多く共有しており、また、脊椎動物の起源を知る上でも重要である。加えて既にゲノムが解読されており、ゲノムワイドな視点から発生システムを解析することが可能である。 転写制御因子間の制御関係をハイスループットかつ網羅的に明らかにすることを目的として、初年度はクロマチン免疫沈降法(ChIP-on-chip)をカタユウレイボヤ胚において確立し、中胚葉の形成に重要なZicL遺伝子の解析を行った。 平成20年度は、初年度のZicL遺伝子に加えて、胚発生において特に重要な役割を持つ10個の転写因子を対象として、大規模にChIP-on-chipによる解析を行った(Brachyury,MyoD,Twist-like1,FoxA,FoxD,Neurogenin,SoxC,Otx,Snail,Tbx6b)。また、得られた結果はゲノムブラウザに統合し、データベース化を行った。これら10個の転写制御因子と初年度のZicL遺伝子の計11個の転写制御因子についての解析により、カタユウレイボヤ初期胚、中でも中胚葉の特異化・分化にかかわる遺伝子制御ネットワークを極めて詳細に明らかにすることができた。初期胚でこれだけ大規模にクロマチン免疫沈降法による解析を行った例は極めてまれで、今回得られた知見は尾索動物にとどまらず、脊索動物門全体において、胚発生を理解する上で重要な成果である。
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Research Products
(1 results)