2007 Fiscal Year Annual Research Report
望ましい基準を満たすマッチングルールの構築可能性の研究
Project/Area Number |
07J04018
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 翔平 Osaka University, 大学院・経済学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マッチング / メカニズムデザイン / ゲーム理論 / 戦略的虚偽表明の防止 |
Research Abstract |
本研究の目的は、研修医と病院、学生と大学のような2つの集合の間に社会的に望ましいマッチングを成立させるマッチング・ルール(以下、ルール)の構築可能性を追求し、得られた結果をもとに日本における現実経済のマッチング問題へ政策提言を行うことである。全てのルール参加者はマッチする相手への選好順序を持っており、ルールの運営者は全ての参加者から表明された選好の組をもとにマッチングを成立させる状況を考える。過去に私は一対一のマッチングモデルにおいて(1)「全ての人にとって真の選好を表明することが最適である(虚偽表明の防止)」、「全ての人が両思いなら、各人は両思いの相手とマッチする(全会一致の尊重)」および「誰ともマッチしない状態よりも好ましくないような相手とはマッチしない(個人合理性)」の三つの基準を同時に満たすルールは構築可能であるという結果と、(2)「虚偽表明の防止」と「両思いの相手がいれば、その相手とマッチする(両思いの尊重)」という二つの基準を同時に満たすルールは構築不可能であるという結果を得ている。現実の経済においては、何らかの機関や施設と多くの個人がマッチするような「一対多のマッチング問題」が重要な問題となるため、これまでに得られている「一対一のマッチングモデル」の結果(1)と(2)を「一対多のマッチング問題」への拡張を行うことによって、初めて現実経済のマッチング問題に対する解決策の提言を行うことが可能となる。今年度(19年度)は、一対一のマッチングモデルにおける上記の結果を一対多のマッチングモデルへ拡張可能であることを証明した。得られた結果を論文として投稿するため10月にアメリカにおいてロチェスター大学トムソン教授の下で校正を行い、海外学術雑誌に投稿している。
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