2008 Fiscal Year Annual Research Report
EBVがコードするプロテインキナーゼBGLF4の機能解析
Project/Area Number |
07J04019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅井 理沙 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プロテインチップ / プロテインキナーゼ / BGLF4 / BZLF1 / fos / 転写因子 / EBV |
Research Abstract |
(1)昨年実施したプロテインチップ解析からBGLF4の標的因子として同定したFra-2(fos-relested antigen 2)の解析を行った。過剰発現系において、Fra-2とBGLF4を共発現させると、シフトしたバンドが見られ、キナーゼ活性を消失させた変異体BGLF4-K102I共存在下ではFra-2単独と同様なアイソフォームが観察された。また、これらの差異はフォスファターゼ感受性であることから、細胞レベルにおいてもBGLF4はFra-2をリン酸化することが確認された。過剰発現および感染細胞において免疫沈降法に供したところ、BGLF4とFra-2は安定な複合体を形成し、その複合体形成はリン酸化依存的であることが明らかとなった。感染細胞において溶解感染期を誘導すると、Fra-2の発現が誘導され、その発現時期はBGLF4の発現とほぼ一致していた。BGLF4がFra-2の転写活性能に与える影響を調べるため、ルシフェラーゼアッセイを行ったところ、Fra-2とBGLF4を共発現させると転写活性が増強し、キナーゼ活性を消失させた変異体BGLF4-K102Iでは変化しなかった。以上より、BGLF4はFra2依存的な転写活性を活性化することが示唆された。 (2)BGLF4によるBZLF1のリン酸化の生物学的意義を探索するために、BGLF4によるBZLF1のリン酸化部位の同定を行った。BZLF1変異体を用いてBGLF4 in vitro kinase assayを利用して行ったところ、BZLF1の209番目のセリン(Ser-209)がリン酸化部位として同定された。Ser-209アラニン置換体(リン酸化を阻害する変異体:S209A)を作製し、免疫沈降法による解析を行ったところ、BGLF4とBZLF1はBZLF1 Ser-209リン酸化依存的に安定な複合体を形成していることが明らかになった。感染細胞において、BZLF1-mRNA発現量とBGLF4蛋白質発現量との関係を検討したところ、感染細胞におけるBZLF1-mRNA発現抑制とBGLF4蛋白質発現には相関関係が有ることが示唆された。BGLF4欠損細胞中のBZLF1-mRNAの発現を野生体と比較した結果、BGLF4欠損ウイルスでは、野生体で見られたBZLF1-mRNAの抑制はみられなかった。以上のことより、感染細胞においてもBGLF4はBZLF1の遺伝子発現制御に関与することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)