2008 Fiscal Year Annual Research Report
Fgf21の造血因子としての役割とその作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J04049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 肇 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Fgf / ゼブラフィッシュ / 心血管系 / 心臓形成 / 血液流出路 / Fgf受容体 |
Research Abstract |
先に申請者は、Fgf21の生体内における役割の解明として、実験モデル動物であるゼブラフィッシュを用いて解析を行い、Fgf21は胎児期造血において脊索から分泌されFgf受容体の一つであるFgfr2と結合し造血幹細胞の赤血球、骨髄球前駆細胞への分化の運命を決定するユニークな分泌性シグナル因子であることを明らかにしている。今回申請者は、Fgf21の他に造血・心血管系に関与するFgfの探索を試みた。数種のFgf機能阻害胚を作製しFgf21と同様に血液循環を消失するものを指標として探索を行った。さらに、血液循環消失の原因を詳細に調べるためにその機能阻害胚に関して、赤血球の検出および血管造影による血管系の観察、心血管系に関するマーカー解析、受容体探索を行った。 申請者はまず、各種のFgf機能阻害胚を作製した。その結果、Fgf19機能阻害胚において血液循環の有意な減少を確認した。この原因を詳細に解析したところ、赤血球の形成および体内の血管形状に異常は見られなかったが、心臓の血液流出路において血液循環が停止していることを明らかにした。次に、心臓領域マーカーの発現を調べたところ、心臓全体の大きさが有意に減少していた。以上のことからFgf19は血球および血管の形成には関与しないが心臓形成に関与していることが明らかとなった。申請者はさらに、Fgf19のより詳細な作用メカニズムを調べるために受容体の探索を行った結果、Fgfr4機能阻害胚においてFgf19機能阻害胚と同様に体内に血液の滞留が見られた。この結果から、Fgf19はFgfr4を介して心臓形成に関与する可能性が示唆された。 本研究はゼブラフィッシュのみならずヒトを含む脊椎動物の心臓形成機構の解明に新しい洞察を与えるものであり、今後Fgf19の機能をさらに詳細に解析することによって心臓疾患発症のメカニズムの解明につながることが期待される。
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Research Products
(2 results)