2009 Fiscal Year Annual Research Report
地震系列の破壊過程と震源近傍における不均質構造の研究
Project/Area Number |
07J04077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 礼子 The University of Tokyo, 地震研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 新潟県中越地震 / 3次元 / 地震波形モデリング / シミュレーション / 差分法 / 地下構造 / トモグラフィー / 不均質構造 |
Research Abstract |
最終年度となる本年度は,昨年度までに構築した3次元地下構造モデルを震源インバージョン解析などに利用することを視野に入れて,モデルのチューニングと高度化に関する研究を以下の通り実施し,より高周波数帯域(〓2Hz)において振幅・位相・走時を説明する3次元モデルを構築した. [1]有限差分法コード[Larsen and Schultz, 1995]を地球シミュレータ(ES2)に移植し,これまでに構築した3次元速度構造モデルを用いて2Hzまでの地震動を安定して計算することを可能にした. [2]走時トモグラフィーで決められた速度構造モデル[Kato et al., JGR, 2006]を基に,周期5秒以上の比較的長周期の観測波形データの振幅・位相・走時を説明するようチューニングしたTajima et al.[GJI, 2009]の3次元速度構造モデル(Tajima's Model)に,引間・他[地震学会,2007]によって構築された新潟地域の浅部構造(Hikima's Model)を組み込んで,より短周期を視野に入れた波形モデリングを行い,3次元速度構造の改良および検証を試みた. [3]Tajima's modelの不均質構造にHikima's modelの浅部構造(最深8km程度)までを組み合わせた3次元モデルを使って計算した波形は,両者の単独モデルから計算した合成波形に比べ,波形の再現性(相互相関・最大振幅)が改善された.イベントや観測点による再現性のばらつきには,トモグラフィーモデルのグリッド間隔が最小3kmであることや,分解能の高い領域が余震分布の密な領域に限られること(30×30×15km))等が影響していると思われるが,1-2Hz程度のより短周期を含む近地波形(後続波)の再現性において,震源近傍の構造不均質が近地の波形(後続波も含む)に与える影響を確認することができた. [4][1]-[3]から得られた解析結果を国内外の学会で発表し,国際学術誌への投稿準備中である.以上,特別研究員に採用された3年間において,地震系列の破壊過程と震源近傍における不均質構造に関する研究をほぼ予定通り進めることができた.
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Research Products
(3 results)