Research Abstract |
ルイス酸-アミン反応剤は,従来塩基法とは異なる優れた反応性・選択性を示す.これらの特徴を利用して,これまでに独自のTi-Claisen縮合,aldol付加反応,さらにはオキシムエーテルを用いるMannich型付加反応を開発してきた.また,これらを利用することで,有用な天然物・香料・医薬・新規ファインケミカルズの合成への短段階・実用的合成への応用を行ってきた. 最近,これまでに報告例のなかった不斉交差型Ti-Claisen縮合,さらには類型のaldol付加,Mannich付加への展開に成功した.これらは,キラルテンプレート効果を利用する不斉反応であり,予想以上の一般性を持つことが分かり,ほぼ100%の交差選択性,および>95%の立体制御を可能とした.基質は極めて調整が容易であり,不斉補助剤も回収することが可能である.これら反応群の合成適応範囲を格段に向上させ,これらを駆使し特異機能分子,すなわち,光学活性医農薬や複雑な構造を有する生理活性天然物の短段階効率的不斉全合成を進行中である. 今年度は,上述の反応を利用して,植物毒性天然物;Alternaric acid(10段階,通算収率13%),および血管新生阻害活性天然物;(-)-Azaspirene(22段階,通算収率2.7%)の不斉全合成を達成した.前者は鎖状3連続不斉中心を有する化合物で,2例目の全合成であり,工程数・通算収率ともに優れている.後者はスピロ環骨格および3連続不斉中心を有する最近注目の化合物で3例目の合成例であり,工程数・通算収率は2番目である.今後,これらの研究の更なる展開として,一連の革新的アシル化の重要な研究として,光学活性α-ヘテロ原子ブロックの実用的合成法の確立を目指し,大学や企業で広く利用できるレヴェルまで引き上げる.
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