2007 Fiscal Year Annual Research Report
表面科学的手法を用いた有機薄膜トランジスタの安定性の研究
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07J04083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
霍間 勇輝 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機トランジスタ / ペンタセン / 薄膜形態 / AFM / FET |
Research Abstract |
有機トランジスタは、従来の無機半導体にはなかった、軽量性・柔軟性・大面積・低コストなどの特徴を有し、将来性の高い素子の1つとして認識されている。ペンタセンは有機半導体の中でも優れたp型材料であるが、我々の研究より薄膜形態の安定性に問題があることを示した。さらに、時間の経過とともにペンタセン薄膜が凝集して基板が露出し、それに起因するFET特性の劣化を報告した。この結果、有機薄膜に内在する薄膜形態の不安定性さがデバイス特性に影響を与えることが明確となったため、これを改善するために第一の手段として形態変化の起源を明らかとすることを目的として研究に着手した。有機分子における形態変化の報告例はこれまでにほとんどなく形態の安定性を議論することは斬新かつ実用化において有意義なテーマであるといえる。変化の要因を探るためにペンタセンを用いて系統的な実験を行った。具体的には、基板を自己組織化単分子膜にて処理することにより基板の表面エネルギーを変化させた場合、またはさまざまな気体の暴露実験を行い雰囲気の違いにより、形態変化にどのような差が生じるのかを検討した。その結果、ペンタセン(001)と基板の表面エネルギー大小関係により形態変化の有無または速度が変化することを示した。つまり、基板の表面エネルギーが大きくなるほど、ペンタセン分子は基板との吸着状態が密接になり安定化することを明らかとした。さらに、気体吸着種が疎水性の場合促進され、親水性のときは抑制されることも明示できた。尚、これらの実験はすべて当研究室にて改良した真空一貫式のAFM(原子間力顕微鏡)-FET測定装置によって評価を行った。
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