2007 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙用電磁加速アークジェットにおける電極近傍でのエネルギー散逸プロセスの解明
Project/Area Number |
07J04084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 大将 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 宇宙輸送 / アーク放電 / プラズマシース / 電磁流体 / 電気推進 |
Research Abstract |
電磁加速アークジェットは宇宙機用ブラズマエンジンの一種であり、陽極・陰極間に流れるkA級の放電電流と、それが生成する自己誘起磁場とが作るローレンツ力によりプラズマを20km/s-30km/sの速度で排気すると云うコンセプトに基づく。この速度は熱的な膨張に頼った推進システムよりも1桁高く、大幅な燃費軽減を意味し、大規模な軌道間・惑星間輸送において活躍の場が見込まれる。本研究はこの電磁加速アークジェットについて、ノズル型電極壁近傍でのエネルギー損失特性の解明を目指したものである。この領域は俗に云うプラズマシースとなっており、投入電力の2割から5割がこのシース降下領域において消費され、電極壁への熱損失になっていると推定される。当該年度においては5ch可変電極ギャップ平行平板電磁加速アークジェットを作成し、電極間距離を次第に近づけ、ゼロの極限における放電電圧からシース降下電圧を巨視的に推定した。陽極には燐青銅、陰極には2%トリウム入りタングステンを用いた。アークの推進剤はアルゴンである。シース降下電圧の値は2kA-7kAの範囲において放電電流依存性はほとんど無く、約18Vであった。この値は陰極の仕事関数とアルゴンの電離電圧の和に近い。このようにして求められた値は陽極近傍と陰極近傍におけるシース降下の和であるが、探針法によってアークの電位傾度を測定したところ、18Vのほとんどは陰極側に存在すると考えられる。電極の損耗量はごく少なく、推進剤の質量の5%以下であった。実用的側面からはこの値を大幅に上回る電圧での動作を行うことによって相対的に電磁加速に要するエネルギーの割合が大きくなり、高効率達成につながる。
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Research Products
(5 results)