2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 宏子 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 基本周波数パターン / 朗読音声 / 第二言語学習 / 日本語 / 中国語 / 英語 / FOモデル |
Research Abstract |
本研究は、母語話者と比較した日本語学習者の発話の韻律的特徴を、物理量・知覚の両方から広く分析することにより、望ましい韻律を定量化し、最終的に韻律学習システムを構築することを目指している。 平成19年度以前は、国内学習者の3分の2を占める中国語話者の日本語朗読音声に現れる韻律的特徴を、基本周波数と継続時間長の観点から定性的・定量的に分析した。 平成19年度(当該年度)は、これまでの母語話者・標準中国語話者の比較的少量のデータを扱った研究成果を検証するため、被験者数、背景母語、朗読文に用いる文数を増加させ、分析に必要な音声コーパスを作成した。コーパスには、標準中国語話者に加え、中国語内の方言差異を考慮するための上海方言話者の音声、中国語話者と比較するための英語話者の音声を含む。まず、音声収録のためのソフトを開発し、次に、母語話者、中国語話者は、研究者所属大学内の防音室あるいは学習者所属の小教室で、英語話者は米国の大学機関で、音声収録を行った。その後、収集したデータから、従来手法による韻律の分析と、音声合成の分野で広く用いられる基本周波数(FO)パターン生成過程モデルを第二言語話者の韻律分析に応用し、表層のFOパターンをアクセント指令とフレーズ指令といったパラメータレベルで分析することにより、より定量的な分析結果を示した。モデル上の分析により、中国語話者は男女とも、母語話者より基底周波数が高く、フレーズ指令、アクセント指令がどちらも過剰生成され、指令の大きさが文節毎に単一的であることが分かった。さらに英語話者を追加した分析により、中国語話者は母語話者、英語話者に比べ、文節内の機能語におけるアクセント指令の生成が多いことが分かった。本研究は、異なる3つの言語間の韻律比較を、日本語と各母語との両方の側面から、同一モデル上で行うことにより、統一的に記述することを目指しているという点で重要である。 平成20年度は、分析をさらに発展させ、成果を利用した発音学習システムの構築に着手する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] FO models show Chinese speakers of Japanese insert intonational boundaries and drop pitch2007
Author(s)
Hirano, H., Hirose, K., Kawai, G., Wentao, G, and Minematsu, N.
Organizer
Proceedings of Interspeech-2007, PP.1885-1888
Place of Presentation
Antwerp, Belgium
Year and Date
2007-08-30