2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 宏子 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 音声学 / 言語学 / 情報工学 / 音声言語情報処理 / 日本語教育 / 日本語 / 中国語 / 韻律 |
Research Abstract |
本研究は、学習者が文を発話した際に現れる韻律的特徴を、母語話者との比較により、物理量・知寛の両方から広く分析し、望ましい韻律を定量化し、韻律学習のためのシステムを構築することを目指した。特に、1)国内学習者の最多数を占める中国語話者の音声の基本周波数パターンに焦点を当て、データを収録してコーパスを作成すること、2)音響分析を行い、母語話者と比較して特徴的な差異を定量的・定性的に分析し、母語話者の知覚実験から自然な発話、不自然な発話を記述すること、3)得られた結果から学習者に効果的な指導法を見出し学習システムを構築すること、を目標にした。 1)では、2種類のコーパスを作成し、中国語話者、日本語話者、英語話者、3言語話者間の比較が行えるようにした。2)に関しては、1文発話中の文節毎、あるいは文節を跨ぐFOパターンやFOレンジの変化について調べ、その結果、中国語話者は、文節毎にFOパターンがなだらかな弧を描かず、直線的に変化し、短時間でFOを上昇・下降させることが分かった。また、レンジ変化が画一的であり、母語話者では文末のFOが低くレンジが狭いのに対し、中国語話者では文末までFOが一定の高さを保ち、レンジも広いままであることが分かった。また、これらの特徴が多く現れる発話ほど、母語話者による聴取実験により、不自然であると評価された。さらに、基本周波数パターン生成過程モデルを用いた分析では、フレーズ指令とアクセント指令といったパラメータレベルでの解析により、中国語話者は母語話者よりも、両指令がともに過剰生成されること、中国語話者は、文中の機能語の位置に母語話者よりもはるかに多くのアクセント指令を生成することが分かった。これらは、英語話者と比較して、中国語話者により顕著であり、文節内(内容語+機能語)でいくつも韻律語が形成される現象も、英語話者に比べて顕著であった。3)に関して、学習者の、語レベルのアクセント型の習得と、語以上のまとまりに対するFOパターンの適切な制御を促進させるため、語と、語が活用した際のアクセント変化を体系的に学習できるオンライン学習システムを開発した。現在も構築作業が進行中であり、今後も現場のニーズに合わせて拡大していく。
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Research Products
(4 results)