2007 Fiscal Year Annual Research Report
カザフ・ハーン国の対外関係史の研究:18〜19世紀の清朝との関係を中心に
Project/Area Number |
07J04096
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
野田 仁 The Toyo Bunko, 研究部, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 中央アジア / カザフスタン / 国際関係史 / ロシア / 清朝 / 新彊 |
Research Abstract |
今年度は、とくに中央アジアをめぐる露清関係に重点を置いた。成果としては、第一に、カザフと露清帝国の三角関係の基礎が形成された18世紀半ばの両帝国の外交とそのはざまにおかれたカザフ・ジュンガル・アルタイ諸族の動向を関連付けて論じた。第二に、その後の19世紀半ばにいたるまでのカザフ草原に対する露清の対応の変化を双方向から論じた。これらの作業は、ロシアの脅威が増す中で、カザフがそれをどのように認識し、清朝との関係を処理しようとしていたかを検討するために不可欠なものであり、結果として、両国の対応の変化にともないカザフ側の帝国への対応も変化していったことを示すことができた。第三に、カザフ社会内の構造変動についても成果を口頭で報告したが、これには、各氏族集団の遊牧地の特定が不可欠であり、より網羅的な文書史料の調査が必要になると考えられる。 新たな作業としては、ロシア・清朝・中央アジア間の隊商貿易ネットワークを明らかにするためにカザフスタンおよび北京での調査を行い、関連する史料の収集を行った。なお北京に所蔵される〓案については、カザフと清朝の関係史にかかわる史料集として刊行が開始されたが、関連する研究動向と併せ紹介を行った。 また年度末に行ったロシア共和国オムスクにおける史料調査では、19世紀前半にロシア帝国のカザフ草原統治に主要な役割を果たしていた西シベリア総督府の政策決定過程にかかわる重要な文書史料を閲覧・収集することができた。これにより、中央アジア現地におけるカザフ・ロシア・清朝の三角関係に反映されたカザフの政治的な立場を再確認することが可能になる。それにより、中央アジアにおけるカザフ・ハーン国の外交上の立場がより一層明確になることが期待されるが、詳細な整理と分析とは次年度の課題である。
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Research Products
(9 results)