2007 Fiscal Year Annual Research Report
好気性グラニュールを用いた高効率型水処理技術の開発
Project/Area Number |
07J04112
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岸田 直裕 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | グラニュール / 好気性グラニュール / 生物学的排水処理 / 微生物生態学 / 水処理 / 窒素・リン除去 / 下水処理 |
Research Abstract |
好気性グラニュール法は既存の処理技術に代わる新しい高効率な水処理技術として期待されているが,研究の歴史は浅く,現在までに形成促進因子がいくつか報告されているものの,詳細な形成メカニズムは未だに明らかとなっていないのが現状である。そこで本年度は,主に既往研究において欠落していた微生物生態学的な観点から形成メカニズムの解明を試みた。 サブクローニング法によって好気性グラニュール内部の構成微生物を調査した結果,完全無機性のアンモニア含有排水にて長期間馴養した場合にも,硝化細菌等の独立栄養性の微生物のみでなく,有機物を資化する様々な従属栄養微生物が存在することがわかった。これは独立栄養微生物が産出する細胞外ポリマー物資等を栄養源とすることで,従属栄養微生物が増殖するためであると考えられた。また,好気性グラニュール形成過程における生態構造の変遷を,定量性の高いFluorescence in situ hybridization(FISH)法によって調査したところ,グラニュール形成の各過程で生態構造が大きく変化していることが判明した。形成の初期段階ではアンモニア酸化細菌が大きく優占しており,この細菌が選択的に凝集・粒状化してグラニュールを形成している様子が示された。また,その後グラニュール径の増加に伴って多様な従属栄養細菌が出現してくることがわかった。このことから,好気性グラニュールの形成過程においてアンモニア酸化細菌が大きな役割を果たしており,形成初期にアンモニア酸化細菌を優占させることがグラニュール形成において重要であることが示された。また,グラニュール形成過程で多様な従属栄養微生物が増加しており,これらがグラニュールの成長,構造の安定化に寄与している可能性が示された。
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Research Products
(6 results)