2007 Fiscal Year Annual Research Report
イジドール・デュカスの詩作品『マルドロールの歌』における演劇性の研究
Project/Area Number |
07J04116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三枝 大修 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フランス文学 / ロートレアモン研究 / 演劇性研究 / 詩学 / 19世紀文学 |
Research Abstract |
本年度は、日本・フランス両国において、十九世紀フランス文学の最新研究文献を探索し、重要な論文・書籍の多くを入手し読むことで、イジドール・デュカスの詩作品『マルドロールの歌』についての理解を深めることができた。そこで得た知見をもとにして、論考「イジドール・デュカスの恋物語」を雑誌『言語態』第7号に発表。本論文は、デュカスの『マルドロールの歌』を、ゲーテ、バイロン、ミツキエヴィチなど、先行する詩人たちの「幻想演劇」作品の系譜上に位置づける試みであった。具体的には、ゲーテの『ファウスト』、バイロンの『マンフレッド』と『海賊』、ミツキエヴィチの『コンラッド・ヴァレンロッド』を扱い、これらの作品と『マルドロールの歌』との間に「恋人に対する主人公の罪」といった共通テーマを見出しつつ、比較・分析を行っている。なお、ここに名を挙げたいずれの作品も、その一部または全体が演劇形式で書かれており、本論考は、上演されることを必ずしも前提としていない文学作品における「演劇性」解明へのアプローチを、同時に果たしている。これはまさに本研究の当初からの課題にほかならず、本年度はじめに提示しておいた計画の予定通りの遂行であるといえる。本研究の成果はさらに、『マルドロールの歌』の中の二詩節を「俳優と観客との間の敷居の越境」といった「演劇性」に着目しながら読み解いた論考、「『マルドロールの歌』第三歌第五詩節と第六歌第七詩節の比較」において発表される予定である。この論文の発表媒体は雑誌『言語態』第8号であり、すでに査読を通過し、掲載が決まっている。
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Research Products
(2 results)