2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアによるグルタミン酸を介した神経伝達の動的制御
Project/Area Number |
07J04142
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 良憲 Kyushu University, 歯学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミクログリア / ミトコンドリア転写因子A(TFAM) / 活生酸素 |
Research Abstract |
活性酸素はミトコンドリアより産生され様々な細胞構成分子に障害を与え細胞の機能低下を引き起こす。老化においても、臓器・器官の機能低下が生じる事から、老化フリーラジカル説の重要性が言われている。ミトコンドリアは独自のDNAを持っており、ミトコンドリア転写因子A(TFAM)により、その外周を覆われている。TFAMはミトコンドリアDNAのコピー数または高次構造の維持に関与している。近年、心筋梗塞モデルにおいてTFAM過剰発現により梗塞部位の縮小ならびに活性酸素発生量の低下が認められ、酸化ストレスを抑制する事が示唆されるようになった。そのため脳の老化に伴う酸化ストレスに対してもTFAMが保護的に働くと考えられる。そこで、脳の老化に伴う酸化ストレスに対するTFAMの影響を検討するためhuman-TEAM過剰発現動物を用い解析を行った。TFAM過剰発現により老化に伴う過酸化脂質の抑制が認められ、ミトコンドリア電子伝達系複合体I、IVの活性を若齢と同レベルまで回復した。野生型の老齢ではミクログリアにおいて過酸化脂質の蓄積、mtDNA傷害ならびに酸化ストレスの指標であるIL・1βの発現が認められた。一方でTEAM過剰発現の老齢ではほとんど認められなかった。さらにTEAM過剰発現は老化に伴う学習・記憶ならびに海馬LTP形成の低下を有意に改善した。また培養細胞においてTFAM過剰発現はロテノンにより誘発されるROSの産生ならびにNF-κBの核内移行を有意に抑制した。以上の結果よりTFAMはミクログリアにおけるmtDNA傷害を抑制し、老化に伴う脳機能低下を改善することが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Reverse of age-dependent memory impairment and mitochondrial DNA damage in microglia by an overexpression of human mitochondrial transcription factor a in mice2008
Author(s)
Hayashi Y, Yoshida M, Yamato M, Ide T, Wu Z, Ochi-Shindou M, Kanki T, Kang D, Sunagawa K, Tsutsui H, Nakanishi H
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Journal Title
Journal of Neuroscience 28
Pages: 8624-8634
Peer Reviewed
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