2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04155
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 武稔 The University of Tokyo, 史料編纂所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 中世史 / 寺社 / 京都 / 神宮寺 / 北野天満宮 / 三十三所観音 / 平重盛 |
Research Abstract |
1、北野天満宮の神仏習合については、神宮寺だった東向観音寺(京都市上京区)の所蔵史料について、昨年度まで行った調査に引き続き、調書の整理、目録の作成、重要史料の分析を行った。西国三十三所観音の札所名をそれぞれ冒頭に記した観音経三十三巻が、一条輝子の発願によって造られた観音像に奉納されたものであることが判明した。天神信仰は古くから観音信仰との結びつきが強く、注目すべき事例といえる。また、九州国立博物館で開催された特別展「天神さま」において、中世の北野社を描いた絵画を見学するなどして、かつて境内にあった仏教的要素について考える材料を得た。 2、京都における三十三所観音については、成立と変遷について仏教史学会の例会で報告し、その後も研究を進め、現地調査も実施した。清水寺や六波羅蜜寺、泉涌寺、城興寺などにおいて、札所標石や道標に記されている碑文を確認し、従来は異なる位置に立っていたものがあることがわかった。善能寺、今熊野観音寺、泉涌寺周辺では、近世における巡礼道を検討し、泉涌寺道以外の道が使われた可能性を考えた。矢田寺では、三十三所と関係の深い若王子神社から移されたという石碑を調査した。また、中世には三十三所の一つであったが近世には外れてしまった東岩蔵寺の跡地を訪れ、山中に寺院の痕跡を確認したが、近世とは異なり中世の三十三所を一日で巡るのは困難だったと考えられる。このほか、京都と比較するという目的で、西国や大阪、出雲、石見、奥州南部糠部郡の三十三所観音についても史料収集や見学を行った。特に西国三十三所観音では相次いで御開帳が実施されており、京都の三十三所と重複するところも多いことから、史料に記された観音像の姿を確認するなど、多くの成果があった。 3、京都・阿弥陀ヶ峰にあった阿弥陀如来像と関わる平重盛については、念持仏とされる阿弥陀如来像を安置する彦島(山口県下関市)の西楽寺を訪れるなどして、情報の収集に努めた。
|
Research Products
(2 results)