2007 Fiscal Year Annual Research Report
海洋底岩石の変質作用に伴う元素の挙動とグローバル物質循環への影響の定量的評価
Project/Area Number |
07J04167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淡路 俊作 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 玄武岩 / 変質作用 / Sr同位体比分析 / 海洋組成 / 白亜紀中期 / オントンジャワ海台 / 地球化学 / 火成活動 |
Research Abstract |
本研究は、海洋地殻に加えて海山・海台も含めた海洋底の岩石と海水との反応が海水の組成に与える影響について定量的な見積もりを行うことを目的としている、特に、巨大海台は岩体全体の質量が大きいだけに、変質作用にともなう海水と岩石との間の物質のやり取りが顕著に起こっているとすれば、海洋組成に与えるインパクトも大きいことが予想される。過去における海洋の化学組成を復元する上で有力な指標となりうるのがSr同位体比組成である。過去の海洋のSr同位体比組成は主に炭酸塩の堆積物中に保存されるため、これまで過去から現在にわたるSr同位体比の経年変動が復元されてきた。その結果、白亜紀中期において、 Sr同位体比の顕著な負方向へのシフトが存在することが見出された。このことは、海底の火成活動がこの時期において活発であったことを示しているが、海洋地殻における熱水活動の結果であるのか、あるいは巨大海台の噴出によるものであるのかいまだに明らかになっていない。 初年度において、世界最大の海台であるオントンジャワ海台から採取された玄武岩試料のSr同位体比分析を行った。それによって巨大海台の噴出が本当に海洋のSr同位体比組成、しいては海洋組成全体に影響を与えたのか、いままでには行われてこなかった海台玄武岩の変質作用という観点から検証を行った。海台玄武岩のSr濃度および同位体比分析の結果、変質作用に伴い、海台玄武岩中に含まれる濃度が増加し同位体比が上昇していることが明らかになった。このデータを用いて海水と岩石との間における物質の収支を計算した結果から、岩石から海洋への物質の流出がなく、海台玄武岩の噴出が従来考えられていたようには海洋の化学組成に著しい影響を与えていなかったことを示唆している。この結果は非常に重要であり、データをより充実させることによって、今後一流国際誌に投稿することができると考えている。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Oceanic Core Complexes and crustal accretion at slow-spreading ridges2007
Author(s)
Ildefonse, B., Blackman, D, John, B., Ohara, Y, Miller, D.J., MacLeod, C.J, and IODP Expeditions 304/305 Science Party(including Awaji, S.)
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Journal Title
Geology 35
Pages: 623-626
Peer Reviewed
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[Presentation] Geochemistry of a long in-situ section of intrusive slowspread crust:Results from IODP SiteU1309(Atlantis Massif,30°N Mid-Atlantic-Ridge)2007
Author(s)
Godard, M., Abratis, M., Awaji, S., Brunelli, D, Christie, D., Hansen, H., Hellebrand, E., Johnson, K., Maeda, J., Yamasaki, T.and Kato, Y.
Organizer
AGU
Place of Presentation
サンフランシスコ
Year and Date
20071200
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