2009 Fiscal Year Annual Research Report
多波長、近赤外線偏光、水素分子純回転輝線観測による大規模サーベイから探る星形成
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07J04180
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
羽田野 裕史 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天文学 / 近赤外線 / 偏光 / 銀河系 / マゼラン雲 / 星間塵 / 星間磁場 / 星形成 |
Research Abstract |
昨年度までに引き続き、南アフリカ天文台に設置されたIRSF望遠鏡を用いて銀河系中心領域の近赤外線(JHK_sバンド)による偏光観測を行った。銀河系中心領域の観測についてはこれまでに観測を予定している領域の約8割の観測を完了した。 天体からの光が偏光する原因として、(A)星間磁場によって整列した細長いダストによる散乱・吸収的(B)星の周囲、もしくは近傍にあるダストによる散乱、の二つが挙げられる。(A)のメカニズムによって起きる星間偏光について、偏光効率と偏光度の波長依存性を測定した。偏光角のばらつきが大きい(小さい)視線方向で偏光効率が低い(高い)という結果を得た。ここから、磁場方向(ダストの整列方向)が異なる複数のダストの雲が視線上で重なっている状況を突き止めた。また、観測された偏光度と減光量の関係をモデルと比べることで、磁場のユニフォーム成分よりランダム成分の磁場強度が高いことを示した。そして、近赤外域における偏光度の波長依存性がこれまで言われてきたべき乗則(波長のべき乗に比例して偏光度が減少)には従わず、波長の長い側でよりゆっくりと偏光度が減少するという結果を得た。これらの成果をまとめた投稿論文を執筆し、Astronomical Journalに投稿した。次に、(B)のメカニズムによる偏光を起こしている特異天体(星の周囲にダストをまとう若い天体や年老いた天体、ダストが付随した星団など)を11天体発見し、他の観測との比較を行った。今後さらに研究を続け、こちらの成果も投稿論文としてまとめたいと考えている。 上記の結果に加えて、銀河系中心方向におけるダストによる星間減光の視線方向ごとの大きさを調べた結果を含めて、博士学位論文を作成した。その後、公聴会を行い、博士学位を取得した。
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Research Products
(3 results)