2008 Fiscal Year Annual Research Report
IV族強磁性半導体の作製とシリコンベース・スピンデバイスへの応用
Project/Area Number |
07J04182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢田 慎介 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / IV族ベース磁性半導体 / MnドープGe / ナノクラスタ / MBE成長 |
Research Abstract |
本研究では半導体エレクトロニクスにスピンの自由度を導入することで新機能デバイスの実現を目指す半導体スピンエレクトロニクスへの応用を目指し,IV族半導体をベースとした磁性半導体などスピンデバイスの材料となるマテリアルの作製を試みている.昨年度の研究計画では,MnドープGe薄膜に形成されたアモルファスMnドープGeナノカラムについての評価に加え,その抑止法,アモルファスMnドープGe自体の物性の評価等を挙げたが,特にナノカラムの評価の比重を重くし,研究の進展上重要な成る果を得る事が出来た. 実際の実験ではナノカラム構造が形成された(と期待される)MnドープGe薄膜について,主に透過電子顕微鏡(TEM)を利用した直接的な構造の観測や,磁気光学測定によるバンド構造からの薄膜の構造及び磁気的な特性の評価を行い,MBE成長におけるパラメータ(成長条件)の変化に伴う薄膜のナノカラム構造の変化を連続的に追った.この結果,まずナノカラム構造は,それが形成される成長条件内では成長条件にほとんど依存せずにそのサイズやカラムとしての形状を保つ事がわかった.一方で,成長条件を変化させる事で膜内のMn原子の分布が連続的に変化していくこともわかった.これはナノカラム内のMn濃度を制御し,狙った磁気特性を持つナノカラムを作製できる可能性を指し示している.これらの結果を総合しMBE成長における成長パラメータを軸とし,ナノカラムの形成に主眼を置いた成長相図を作成し,学会にて発表を行った.ナノカラム構造をスピンデバイスに応用するためには,その形成をコントロールする事は必須であり,上記の結果は本研究の進行に当たり重要な成果として位置づけられる.なお,この成果を受け現在の研究はナノカラム構造の電気特性について評価を行う段階にある.
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Research Products
(4 results)