2009 Fiscal Year Annual Research Report
IV族強磁性半導体の作製とシリコンベース・スピンデバイスへの応用
Project/Area Number |
07J04182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢田 慎介 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / IV族ベース磁性半導体 / MnドープGe / MBE成長 / ナノクラスタ |
Research Abstract |
本研究ではSiベースのエレクトロニクスにキャリアのスピンの自由度を導入することで高性能(特に不揮発,低消費電力など)デバイスを実現することを目指し,IV族半導体をベースとしたスピンデバイス材料の作製を試みている.本年度の研究では,昨年度示したナノカラム構造を有するMnドープGe薄膜の磁気伝導特性の評価を行うと共に,そういったナノ構造の形成を抑止したGeベースの単結晶強磁性半導体の作製を試みた. まず,ナノカラム構造を有するMnドープGeの磁気伝導を測定し,非常に大きな正の磁気抵抗効果を確認した.この効果は他のグループでも確認されているが,本研究では特にIV族系でこれまでにない大きな磁気抵抗効果が確認できた。加えてナノカラムを有するMnドープGeを利用したヘテロ構造(磁気トンネル接合)の磁気伝導も評価したが,こちらでも磁気的な信号が確認された.これについては明確な結論が出ていないが,IV族磁性半導体を利用した磁気デバイスが実現できればインパクトは大きく,今後詳しく研究していく必要がある. 一方で,ナノ構造を抑止した強磁性半導体結晶を実現するために成長基板の面方位を変える実験を行った.(001)面上以外へのMnドープGeの成長はほとんど行われていないが,面方位による成長カイネティクスの変化を考慮するとナノ構造の形成が抑えられる可能性はある.本研究ではGe(111)面上にMnドープGeを成長し,磁気円二色性(MCD)測定及びTEM観察から磁性および結晶構造の評価を行った.その結果,特定の条件で成長したMnドープGeは強磁性半導体的な磁化特性を示すと共に,Mnがほぼ均一に分布した単結晶を有することがわかった.この薄膜は求める強磁性半導体であると考えてほぼ間違いなく,(もちろんまだまだ改善の余地はあるが)当初からの目的であったIV族ベース強磁性半導体が実現できたと言える.
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Research Products
(3 results)