2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04183
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根元 多佳子 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 逆数学 / 二階算術 / 無限ゲーム / 決定性 |
Research Abstract |
二階算術における決定性の階層を明らかにするため,二階算術の主要体系を特徴づける決定性公理の研究を行った。 今年度発表した論文"Determinacy of Wadge classes and subsystems of second order arithmetic"(Mathematical logic quarterly,Volume 55,Issue 2,pp154-176)は主要な体系のうち,II^1_1-CA_0,II^1_1-TR_0,ATR_0+\Sigma^1_1 induction,WKL_0^*,WKL_0を特徴づける決定性公理についての論文を発表した。この論文で用いた決定性は無限0-1ゲームという各プレーヤーに許される手は0か1のみに制限されたゲームで,囲碁や将棋など,日常的な「ゲーム」の一般化と見ることができる.この論文で明らかになったことは通常の(各プレーヤーに許される手は可算無限個ある)ゲームの決定性と比較して決定性の強さが幅広く変化することである.また,これまであまり対応する数学的定理が知られていなかった\Sigma^1_1および\Sigma^0_1帰納法公理に対する特徴づけが決定性公理で与えられることも示した.具体的には記述集合論でBorel階層の細分として知られているWadge階層を形式化し,対応する決定性公理を定義することで上記の体系を特徴づけることに成功した. 今年度後半には二階算術における帰納的定義と決定性に関する研究発表を行った.これまで\Sigma^1_1帰納的定義と通常のゲームの\Sigma^0_2決定性が同値であることは知られており,さらに\Sigma^0_2\land\Pi^0_2決定性はこれらよりも真に強くなることも知られていたが,上記のWadge階層において\Sigma^0_2と\Sigma^0_2\land\Pi^0_2の中間に位置する決定性がどのような強さをもつかは分かっていなかった.本研究では\Sigma^1_1帰納的定義の単純な超限界繰り返しを許すことによって,この中間にある決定性が証明できることを示し,さらに,実際にはこの決定性の強さが\Sigma^0_2決定性と本質的に変わらないという予想を得た.
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Research Products
(4 results)