2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝情報を活用した竹林の成立過程の解明と保全に関する資源植物学的研究
Project/Area Number |
07J04200
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大野 朋子 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教
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Keywords | タケ類 / 民族植物学 / 資源植物 / 少数民族 / タイ / 中国 / 多様性 / 伝統的知識 |
Research Abstract |
前年度の結果を経て、タケの景観資源および遺伝資源としての保全に関する基礎的知見を得るために、伝統的なタケの利用がされているタイ北部とマレーシアおよびバリ島における調査を加え、本年度は、系統解析のためのシーケンス分析と民族植物学的調査、候補地のGIS分析を行い、都市近郊におけるタケの雑草化について国内学会で研究発表をした。フィールド調査から得た新たな95個サンプルを改変CTAB法を用いてDNAを抽出し、葉緑体DNAのtrnL-F領域とtrnT-L領域とmatK領域の塩基配列を決定した。予備的な系統解析の結果、日本の温帯性のタケ・ササ類とタイや中国、マレーシアの熱帯性のタケ類とを識別できた。核DNAの解析により更に精度を向上できる。フィールド調査では、分析資料のサンプリングと共にタケ類の利用と多様な形態と分布状況を調査し、その結果をBamboo Journalに投稿した。タイ北部の1民家の庭には、6種類のタケ類が栽培されており、離れた畑で栽培するタケを合わせて、10種類のタケ類を用途に合わせて使い分けしている実態を確認した。中国雲南省では、集落内に植栽されているタケ類と河川沿いに植栽されているタケ類を調査し、集落内のタケは、Dendrocalamus yunnanensisで、水路沿いにはBumbusa lapideaが植栽されており、民族の違いにより利用法は異なるものの、多様なタケ類を識別し、使い分けていることが判かった。また、バリ島の調査によって、ダイサンチクBambusa vulgarisを事例として、生育環境を分析し、DNA情報をあわせ、総合的に判断して論文を作成した。タケ類の雑草化は、人為的な選び出しと栽培に深い関係があると考えている。
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Research Products
(6 results)