2008 Fiscal Year Annual Research Report
不斉自己触媒反応を用いる不斉の起源とホモキラリティーの研究
Project/Area Number |
07J04215
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 健太 Tokyo University of Science, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉自己触媒反応 / ベンジル / キラル結晶 / ピリミジルアルカノール / ヘクトライト / 不斉開始剤 |
Research Abstract |
アキラルな有機化合物には,キラルな空間群に属し,結晶状態においてのみ不斉を有するキラル結晶が知られている。本研究では,アキラルなベンジルがキラル結晶を形成する事に着目して研究を行った。すなわち,ベンジルのキシレン溶液より単結晶を析出させ,Nujol法により固体CD測定を行なったところ,400nmで正または負のコットン効果を示す結晶が生成した。生成したベンジルのキラル結晶を不斉開始剤として用い,ピリミジンカルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛との不斉自己触媒反応を行なったところ,用いたベンジルのキラル結晶のキラリティーと立体相関性のあるピリミジルアルカノールが高収率かつ高鏡像体過剰率で生成した。また,クロロホルム溶液より析出したアキラルな4,4'-ジブロモベンジルの単結晶がキラル結晶を形成する事を見出した。得られた4,4'-ジブロモベンジルのキラル結晶も不斉開始剤として有効に作用する事を明らかにした。本結果の再現性も確認する事ができた。以上の結果はアキラルな有機分子が形成するキラル結晶をもとに,新たな不斉炭素原子を有する化合物を高エナンチオ選択的に合成する事に成功した。次に,キラルな金属錯体をインターカレートしたキラルなナトリウム型ヘクトライトを不均一系不斉開始剤として用いる不斉自己触媒反応の研究を行った。すなわち,配位による不斉を中心金属に有するルテニウム(II)フェナントロリン錯体をインターカレートした合成ヘクトライトを不均一系不斉開始剤として用い,ピリミジンカルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛の不斉自己触媒反応を行なったところ,用いた不斉開始剤の立体に相関した不斉を有するピリミジルアルカノールが高い光学純度で生成した。以上の結果は,キラルなヘクトライトの触媒的不斉合成における不均一系不斉開始剤としてのさらなる可能性を広げる事に成功した。
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Research Products
(13 results)