2007 Fiscal Year Annual Research Report
不斉自己触媒反応を用いる不斉の起源とホモキラリティーの研究
Project/Area Number |
07J04215
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 健太 Tokyo University of Science, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 不斉自己触媒 / 不斉の起源 / シトシン / キラル結晶 / ピリミジルアルカノール / ホモキラリティー |
Research Abstract |
アキラルな有機化合物には,結晶を形成した時にキラリティーを発現してキラル結晶を形成するものが知られている。本研究では,核酸塩基であるアキラルなシトシンがキラル結晶を形成する事に着目して研究を行った。すなわち,シトシンのメタノール溶液をかく拌しながら結晶を析出させたところ粉末CDが310nmでプラスまたはマイナスのコットン効果を示す結晶が生成することを明らかにした。結晶析出実験を55回行ったところ,CDプラスシトシン結晶が21回,CDマイナスシトシン結晶が24回得られ,10回はCDが検出限界以下であった。以上によりアキラルなシトシンが結晶化する際,かく拌しながら結晶化を行うとほぼ1対1の割合でCDプラスまたはCDマイナス結晶が自発的に生成することを明らかにした。つぎに,生成したシトシンのキラル結晶を不斉開始剤として用いる不斉自己触媒反応を検討した。すなわち,CDプラスシトシン存在下で,ピリミジンカルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛とを作用させたところ,(R)-ピリミジルアルカノールが高い鏡像体過剰率で得られ,一方CDマイナスシトシン存在下では(S)-ピリミジルアルカノールが高い鏡像体過剰率で生成した。本結果の再現性も確認することができた。以上の結果は生体関連化合物でありながら,キラリティーとは関係ないと見過ごされてきたアキラルな核酸塩基であるシトシンが,キラル結晶を自発的に形成して不斉自己触媒反応の不斉開始剤として作用し,99.5%ee以上という極めて高い鏡像体過剰率のキラル有機化合物が生成することを見出したものであり,シトシンが不斉の起源となりえることを明らかにしたものである。
|
Research Products
(8 results)