2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J04224
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中尾 一久 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 歯の再生 / 器官原基法 / 再生医療 / 歯の発生 |
Research Abstract |
1、歯形成能をもった未分化細胞の探索 まず初めに、器官原基法を用いて、胎齢15.5日の歯胚上皮組織と、各種胎児繊維芽細胞株と成体マウス骨髄ストローマ細胞株を再構築して歯形成能を評価した。中でもNIH3T3、C3H10T1/2、HESS-5、HESS-M28を用いた再構成歯胚からは、正常な歯と組織学的に同一な再生歯が形成された。さらにこれらの歯形成能を有する細胞群においてのみ、歯胚上皮組織との再構築によって、神経提細胞から歯原性間葉細胞への分化に関与すると考えられているMsx1、Pax9、Lhx7遺伝子が顕著に誘導されることが明らかになった。 以上の結果より、歯を形成しうる間葉系細胞を探索するためには、Msx1、Pax9、Lhx7などの発現を伴う歯原性間葉への分化転換が重要であることが示された。本研究は、器官原基法が歯を形成しうる未熟な細胞シーズの探索と誘導に有効な評価法であると共に、歯胚に代わる細胞を用いて歯を再生する医療の実現可能性を示すものと考えられる。 2、歯の形態形成メカニズムの解析 初めに、細胞表面分子に対する中和抗体を用いて、歯の発生におけるIntegrinβ1の機能の解析を行った。単一化した切歯間葉細胞を抗Integrinβ1抗体により処理した再構成歯胚では、90%の頻度で歯の形成阻害が認められた。一方、再構成歯胚の発生におけるマイクロアレイ解析から、歯の発生への関与が知られていない571個の遺伝子が見出された。続いて、培養した臼歯間葉細胞にGFP遺伝子を導入し、その細胞を用いた再構成歯胚を作製したところ、間葉細胞がGFP陽性の再生歯が形成されることが判明した。 本研究より、Integrinβ1が歯の初期発生に関わることを明らかにしたと共に、歯の初期発生に関与すると考えられる候補遺伝子が見出された。さらに遺伝子導入した細胞で歯の形成が可能であることから、器官原基法は歯の発生メカニズム解析に応用できることが示唆された。
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Research Products
(4 results)