2007 Fiscal Year Annual Research Report
半古典近似を用いた非線形Schrodinger方程式の解析
Project/Area Number |
07J04229
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
眞崎 聡 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / 半古典近似 / Hartree方程式 / 漸近展開 / 漸近挙動 / WKB解析 |
Research Abstract |
今年度は,まず半古典近似を通して得られた結果を応用し,非線形シュレディンガー方程式の解の漸近挙動に関する研究を行った.この研究においては厳密に述べると半古典近似を用いているわけではないが,半古典近似の研究の際に得られた結果をヒントとして,非線型項の構造をうまく利用して近似解を得る手法を確立することができた.この手法で得られる近似解は,形は複雑なものの大変精度のよいものである.特に冪乗型非線型項の場合には冪が整数であると任意の精度の近似解を構成することが可能である.この研究は後に散乱作用素の解析性を調べる研究へと発展した.この結果は論文として発表し,また日本数学会でも発表した.また今年度は,Carles氏とともに,Hartree型方程式の半古典近似に関する基礎的な研究を行った.Grenier氏によって開発された,非線形シュレディンガー方程式において非線型項の影響をうまく取り込んだWKB型近似を与える手法(一般化WKB法と呼ばれている)を,Hartree方程式において正当化した.それまでは冪乗型などの局所的な非線型項について主に研究されてきており,それをCarles氏の以前の研究のアイデアを応用しHartree型のものへと拡張した.非線型項の形状に解の性質がどのように影響を受けるかを明らかにすることが出来た.またこの結果は,Hartree型方程式の初期値に関する不連続性の研究などにも応用できる.さらに,これからの私の半古典近似の研究の基礎となるべき部分であり,来年度の研究への準備となった.この結果も論文として発表した.この結果を応用することで,私の主目的である焦点付近での非線型項の影響を解析する研究にも進展があり,現在論文としてまとまっている状況である.
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