2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯雨林における雨量・流出水量・水質の季節・長期変動と水質形成機構の解明
Project/Area Number |
07J04231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五名 美江 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 東南アジア熱帯雨林 / 水収支 / 物質収支 / 渓流水質形成 / 硫酸態硫黄 |
Research Abstract |
本研究は、東南アジア熱帯雨林地域のマレーシア・ボルネオ島サラワク州の低地林(ランビル国立公園)とサバ州の山地林(キナバル国立公園)の2サイトを対象に、(1)雨量・流出水量の季節変動を明らかにすること、(2)2サイト間で違いが生じる要因とそのメカニズムを解明することを目的としている。熱帯雨林における水文・水質2サイト同時観測を1年以上継続した例はほとんどなく、特に東南アジア熱帯雨林でほとんど行われていないため、本研究は東南アジア熱帯雨林の森林環境の実態を明らかにするものとしてその意義は大きい。また、森林を伐採した場合の影響を評価する研究にもつながるため、今後の熱帯雨林の取り扱いを考える際に、科学的知見を提供できる重要な研究である。 本年度は、国際誌3誌への投稿、国外2回、国内1回の学会発表を行った。査読者の意見を踏まえて、本研究の内容を博士論文として取りまとめた。主な成果は下記のとおりである。 (1)低地林・山地林における2006年から2008年の3年間の水収支・物質収支を明らかにした。 →低地林は山地林の約2倍の損失量があり、物質収支で最も顕著な差が見られたのは硫酸態硫黄で低地林は山地林の約65倍年間の流出量があることが明らかになった。 (2)低地林・山地林の渓流水質の特徴を他の熱帯雨林の研究成果と比較して考察した。 →低地流域では高濃度で硫酸が流出しており、pHを下げる要因となっている。その要因を検討したところ、過剰な硫酸を緩衝する塩基性カチオンがないためと推察された。 (3)(1)(2)の特徴について、そのメカニズムについて小流域を設定して観測結果から明らかにした。
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Research Products
(3 results)